第12話 仲間が出来ました
ナツコさんは、極楽鳥のそばを優雅に、かつ挑発するかのように白黒の身体を見せつけると、極楽鳥が飛び掛かる寸前に身を翻し、持ち前のスピードで一気に逃走。その速さは極楽鳥を充分に上回っているようだ。
アタシは今のうちに、影空間から現界に手を伸ばし、巣の中に有るものをささっと回収して影空間に戻った。後は、元の場所まで戻ってっと。
「お待たせ!成功したよ!」
「空魚が囮になっているうちに、離れるよ!」
アタシと師匠は、その場を後にして森まで退却。しばらくすると、ナツコさんも戻ってきて合流した。
「あいつら、速さじゃ負けないけど、魔法攻撃が多彩過ぎて嫌なのよね。まあ、アタシのスピードでぶっちぎってやりましたけどね!」
ドヤ顔のナツコさん。
「流石はナツコさん、サスナツだね~。それでは、戦利品調べてみましょっか!」
アタシが影空間収納から戦利品を取り出してみると……
虹魔石×4、極楽鳥の羽×7、極楽鳥の卵……
「ちょっと!何、卵採って来ちゃってるのよぉ~!」
ナツコさんの叫びが辺り一面に轟いた。
「返しなさい、返してきなさい、今すぐに!」
何故か五七五調のナツコさん。
「そ、そうだね」
アタシが慌てて卵を掴みとると。
ピキッ!
「あっ!」
恐る恐る手の中を見ると、卵にヒビがどんどん入っていく。良かった、アタシが強く握りすぎたのかと思った……孵化するんだね。
アタシ達が見守る中、アタシの手の中で卵の殻が外れ、そこからピヨピヨと姿を現したのは、濡れそぼったオレンジ色のヒヨコ。頭から背中に掛けて極彩飾の筋模様が入っている。
ヒヨコはアタシの顔を見ると、ピイッと一声。
「あ~、これ、明らかに刷り込まれちゃったわね。アンタ、親と認識されたわよ。なんてタイミングの悪い……」
「え~、返せないけど、これはこれで可愛いじゃん」
「最後に囮になったアタシの後に卵が消えてるの。アタシ、この辺にいたら、ずっと追いかけられるのよっ!」
ずっ友ならぬ、ずっ敵だね、とは口にしなかったけども。
確かにナツコさんにだけ、迷惑かけちゃったなあ。
「まあ、仕方ないか。アンタ面白いし、アンタの旅にアタシもこれからついていくわ、よろしくね」
マジっ!!
「ぴぉ~!」
極楽鳥(名称未定)の雛が仲間になった!
旅の道連れが一気に増えたよ。やったね!
「とりあえずログハウスに戻ろう。今日はゆっくり休みつつ、旅の計画を練るがいいさ。」
ガイア師匠の勧めで、アタシ達はログハウスに戻ることにした。極楽鳥の可愛子ちゃんにも名前つけてあげないとねっ!
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