第11話 巣ニーキングミッション

 アタシ達は、ナツコさんの案内で鎧の死体が転がってると言う現場まで足を運んだ。



 高い崖の下に、鈍色の全身鎧が転がっている。


「事件現場はここですか、ボス?」

「誰がボスよ、誰が」

 ナツコさんがペッチンとヒレでアタシの頭にツッコミを入れた。


 さて、死体なんだけど、鎧の中身は腐敗中で……



「うわぁ……どうしよう、これ」

「生活魔法の浄化を使いながら、鎧を剥がしてやろう」


 アタシとガイア師匠は、二人掛かりで、作業を開始する。


 鎧のあちこちの留め金を外して、そっと外しながら、鎧と腐乱した肉体の両方に浄化魔法を掛ける。


 神官の浄化魔法がどんなものか知らないけど、生活魔法の浄化は、腐った肉の表面が消失するような感じ。


 外した鎧と、腰に差していた片手剣は、影収納へ。遺体は生活魔法で穴堀して埋葬した。


 作業が終わると、師匠は何か手帳のようなものを読み始めていた。黒皮の手帳?なーんて。


「こいつの手記だねえ。名前は、アーダン・ドルアンテ。ランテルム公爵家の騎士だ」


 師匠が手帳を読んだところによると。



 ランテルム公爵家のユリース令嬢が病に倒れ、治すためには虹魔石と言うものが必要だと。それは、極楽鳥と呼ばれる魔獣の巣でしか手に入らない貴重品で、ランテルム公爵家の騎手達は探索のために各地に旅に出たらしい。


「ようやく極楽鳥の手掛かりを見つけたこの男は、ここまでたどり着いたんだろうけど……」


 師匠が見上げる崖の中腹に、鳥の巣らしきものが見える。


「あそこまでよじ登って堕ちたのか」

「その様だねえ。さて、どうする?」

「ここで見つけたのも何かの縁だし、虹魔石、届けてあげても良いかな。ナツコさんなら、飛んですぐ採って来れるのでは?」

「出来ないことはないけど、極楽鳥ってねえ、結構狂暴なのよ」


 ふうむ……それなら……


「よし、アタシに任せて!ちょっと行ってくるね」


 アタシは影異相転移を発動させた。


 影の異相空間から崖上を見上げる。障害物を無視するこの移動方法は、立体に対してどうなるのか。


 目の前が方眼線のように切り替わり、3D的な表現になる。そこに、一段、また一段と階段のようなものが発生し、アタシの動きが上に登るのを補助し始めた。


 そうして、到着しました。極楽鳥の巣。影空間から現界を透かして見ると、きらびやかな極彩飾の鳥が、巣の中から、キョロキョロと周囲を警戒している。飛び立ってくれれば良いんだけどな。


 と、その時だ。なんとナツコさんがホバリングして巣の近くまでやって来た!




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