第8話 聖女への道
私は、カルード様に感謝されていた。
嫌われていると思っていた彼からの感謝に、驚いていた私だったが、それがおかしいものではないと気づいた。
カルード様は、良くも悪くも公平なのである。彼は、私を正当に評価していつもの刺々しい態度なのだ。
なんだか、それはそれでショックな気もする。私はいつも、そんなに悪いことをしていただろうか。
「フリムド様、お騒がせして申し訳ありません。こちらの不手際で、迷惑をかけてしまったようです」
「いえ、カルード様、気にしないでください」
そこで、カルード様はフリムド様に謝罪した。
よく考えてみれば、今までの話は全てフリムド様を置いてけぼりにする会話だった。私とフリムド様が会ってはならないのは、クーテイン家側の事情である。その事情に、フリムド様を付き合わせるのは色々と間違っていることだろう。
そもそも、フリムド様は私が誰かわかっているのだろうか。その点から、フリムド様は理解できていなかったはずである。
色々な面で、フリムド様を混乱させていただろう。それを謝るカルード様の行いは、当然のものだといえる。
「それより、彼女の魔法の才能は目を見張るものがあります。是非、僕は彼女を魔法学校へ入学させるべきだと思います」
「魔法学校へ入学させて、魔法の扱い方を教えるという訳ですか」
「ええ、そして、いずれは聖女の選抜試験を受けさせるべきかと」
フリムド様は、カルード様に再び私を魔法学校に入れるように言った。
しかも、フリムド様は私が聖女を目指すべきだと思っているようだ。
聖女というのは、この国の役職のことである。魔法の才能を持った者がなれる魔法関係を取り仕切る仕事だ。それなりの地位もあるかなり重要な仕事である。
そんな役職を、私に目指せというのだ。中々すごいことを言う人である。
「聖女ですか。なるほど、魔法の才能があるならば、それを目指すのも悪くはないかもしれませんね」
「そうでしょう」
それに対して、カルード様は肯定するような反応をした。
ただ、それは単に話を合わせただけともとれる。この反応だけでは、カルード様がどう考えているかはわからない。
だが、一つだけわかっていることがある。それは、カルード様以外の公爵家の人々がどう考えているのかだ。
「その子に魔法学校など、過ぎた場所です」
「そうです。そんな場所に通わせるべき人間ではありません」
「その通りです」
私が魔法学校に通うことを、カルニラ様達は反対してきた。
どうやら、カルード様が誤魔化していた話をまた蒸し返すつもりらしい。
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