第八百三十九話 マリー・エドワーズと真珠は海水から塩を錬金している途中で魔力枯渇になり、死に戻る

マリーは『錬金』スキルで海水から塩を錬金するために、アイテムボックスから、海水を入れたツボを取り出す。

それから、錬金窯に海水を入れた。


「えっと、ここで見本を見せるんだよね」


マリーは最初に大失敗した錬金のことをきちんと憶えていた。

失敗した原因は、ゲームシステムに作りたいアイテムを提示しなかったことだとマーキースに教えてもらったのだ。


マリーはアイテムボックスから錬金塩が入った瓶を取り出して、高く掲げ、口を開いた。


「私は今から、錬金で、海水から塩を作りたいです!! 今、手に持ってる瓶の中に入ってる塩を作りたいです!! ゲームシステム、オッケー!?」


「わんわんっ!!」


「よし、オッケー。大丈夫」


マリーは十分にゲームシステムにアピールできたと判断して、手に持っていた錬金塩が入った瓶をアイテムボックスに収納した。

その後、錬金窯に、ジュースにくっついているストローのようにくっついているガラス棒を手に取って握りしめた。

真珠はマリーと一緒に錬金を頑張ろうと耳と尻尾をピンと立てて、マリーの作業を見つめる。


「真珠。錬金するよっ」


「わんっ」


マリーと真珠は視線を合わせて肯き合う。

今度こそ、錬金を成功させる……!!

マリーは深呼吸して呼吸を整え、口を開いた。


「行きますっ!! 魔力操作ON。錬金ON。塩、塩、塩を作りたい!! 白い塩、しょっぱい塩、おいしい塩!!」


マリーは必死にガラス棒で錬金窯の中の海水をかき回し、真珠は吠えて自分も錬金作業をしている気分になる。

やがて、錬金窯が白い光を発した……!!


「錬金成功……っ!?」


マリーがそう言った直後、マリーと真珠は魔力枯渇でHPが0になり、教会に死に戻った。

錬金作業に夢中になったマリーはMP管理を怠っていたのだ……。


マリーと真珠は港町アヴィラの教会に死に戻り、互いに顔を見合わせた。


「錬金失敗……?」


「きゅうん……?」


マリーと真珠がお互いに首を傾げた直後、可愛らしいハープの音が鳴った。

フレンドからのメッセージが来たようだ。


「真珠。今、フレンドからのメッセージが来たみたい。もしかしたらクレムからかもしれないから、確認するね。ちょっと待っててね」


「わんっ」


真珠はマリーの言葉に肯いて、お座りをした。

真珠はマリーがメッセージの確認を終えるまで、おとなしく待っている。

マリーはステータス画面を表示させて、フレンドからのメッセージを確認した。

メッセージの送り主はクレムだ。


***


マリー・エドワーズのスキル経験値が上昇


錬金 レベル1(5/100)→ 錬金 レベル1(30/100)


マリー・エドワーズの最大MP値が上昇


MP 66/66 → MP 0/67


光月14日 昼(3時18分)=5月29日 19:18


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