第八百三十八話 マリー・エドワーズはリープしてアーシャからのメッセ―ジを確認し、錬金塔の自分の作業室で目覚める

錬金塔の自分の作業室に入ったマリーは、そこで力尽きて座り込んだ。

真珠がマリーを心配そうに見つめる。


「そうだ。アーシャさんからメッセ―ジが来てたんだ」


マリーはこの疲労感を回復させるために『リープ』して、転送の間でアーシャからのメッセ―ジを読もうと考えた。


「真珠。今から私、転送の間にリープ」


真珠に自分の行動しようとして、うっかり『リープ』と口にしてしまったマリーの意識は暗転した。


気がつくと、悠里は転送の間にいた。

また、学校指定のジャージを着ている。


「そうだ。私、晩ご飯の分のGPまだ貰ってないんだった。アーシャさんからメッセ―ジを確認する前にGPくださいっ」


「確認します。プレイヤーNO178549。高橋悠里様の脳波確認。確認中……。トゥルース。高橋悠里様に1GPが付与されます。高橋悠里様の現在の取得GPは49GPです」


「ありがとうございますっ」


悠里は晩ご飯を食べた分のGP1を貰えてほっとしながら、ステータス画面を表示させ、アーシャからのメッセ―ジを確認する。



マリーちゃん。おいしい定食を奢ってくれてありがとう。

バージルさんが、マリーちゃんと真珠くんをバージルさんたちの部屋で預かってくれるって言うから、ウチはパーティー解消して錬金術師ギルドに行くね。

またゲーム内で会えたら、一緒に遊ぼうね。



悠里はアーシャからのメッセ―ジを読み終えて、返信を書き始めた。



アーシャさん。私と真珠は今、錬金塔の作業室にいます。

突然、強制ログアウトしちゃったから、びっくりさせちゃいましたよね。すみません。

またゲーム内で会えたら、一緒に遊びましょうね。



悠里はアーシャへのメッセ―ジを読み直して、送信した。

転送の間でやりたいことは終わった。


「サポートAIさん。私、ゲームをプレイしますね」


「それでは、素敵なゲームライフをお送りください」


サポートAIの声に送られ、悠里は鏡の中に入っていった。


マリーは錬金塔の自分の作業室で目覚めた。

教会から錬金術師ギルドまで走り通した疲れはすっきり取れて、爽快な気分だ。

床に寝転がっていたマリーは、腹筋に力を入れて起き上がる。


「わうー、わうわぅ」


マリーの隣に寝転がっていた真珠が尻尾を振ってマリーを見つめる。

マリーは真珠の頭を撫でて、口を開いた。


「真珠、おはよう。床に寝転がらせちゃってごめんね。作業室にベッドがあったらいいんだけどなあ。でもベッドはきっと、高いよね……」


マリーはNPCの母親から産まれてくる弟か妹のために、頑張ってお金を貯めようとしている最中なので、無駄遣いはできない。

作業室にベッドを置くことは、とりあえず忘れよう。

今は錬金を頑張ろうと思いながら、マリーは気合を入れて口を開いた。


「よしっ。じゃあ、海で汲んできた海水を使って、塩を錬金しようっ」


「わんっ」


マリーの言葉に、真珠はわくわくしながら肯く。

真珠は錬金が大好きだ。

真珠も一緒にマリーと錬金を頑張ろうと、気合を入れる。



***


高橋悠里の取得GP 48GP → 49GP 


光月14日 昼(3時11分)=5月29日 19:11


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