第八百二十七話 マリー・エドワーズはフローラ・カフェ港町アヴィラ支店で真珠のためにネクタルを買い、クレムに奢るスイーツを買ってアイテムボックスに収納する

真珠と共にフローラ・カフェ港町アヴィラ支店に入ったマリーは、入り口のカウンターに会員証を提示した。

フローラ・カフェに通い慣れている真珠は、空いているテーブルに向かってダッシュし、マリーと自分の座る場所を確保する。


空いているテーブルの椅子の一つに座って尻尾を振る真珠を、店内にいるプレイヤーたちは微笑ましく見つめる。

店内には、真珠以外にも、様々なテイムモンスターを連れているプレイヤーがいた。

フローラ・カフェ港町アヴィラ支店はテイムモンスターも歓迎な店なのだ。


「真珠、席取っといてくれたんだね。ありがとう」


カウンターで受付を済ませたマリーは、椅子に座ってお座りをしている真珠に歩み寄って微笑んだ。


「わんわぅ、わんっ」


マリーにお礼を言われて嬉しくて、真珠は尻尾を振る。


「真珠。私、自販機でスイーツを買ってくるから待ってて。真珠は何か食べたい物ある?」


真珠は少し考えて口を開いた。


「わうわう!!」


「真珠、ユリエル様って言ってるわけじゃないよね? えーっと……『わうわう』だから四文字で……。あっ。『ネクタル』?」


「わんっ」


真珠はマリーの言葉に肯いた。真珠はおいしい『ネクタル』が飲みたい!!


「わかった。買ってくるね」


マリーは真珠にそう言って、一人で自販機に向かった。


フローラ・カフェ港町アヴィラ支店の自販機でネクタルを1つ、フローラ・バナナマフィンを1つ、フローラ・チョコチップクッキーを1つ、フローラ・ミルクレープを1つ買い、ネクタル以外をアイテムボックスに収納する。

ネクタル以外のスイーツは全て、フレンドのクレムに渡す物だ。


ネクタル1つを持ったマリーは、テーブル席で待つ真珠の元に向かう。


「真珠、お待たせ。真珠のネクタル買ってきたよ」


「わうわううっ。……わうー、わ?」


真珠はマリーがネクタルを1つしか持っていないことが不思議で、首を傾げる。

マリーの分のネクタルは無いのだろうか?


「私はねえ、今、スイーツな気分じゃないからいいんだ。真珠のネクタルと、クレムに奢る分のスイーツを買いたかったの」


マリーの中の人である悠里は『アルカディアオンライン』をプレイする前に、駄菓子を食べていたので、今、スイーツを食べたい気分ではないのだ。

それに、新しく産まれる赤ちゃんのためにも、ブラックな労働環境で働くNPC家族のためにも、ゲーム内通貨を節約して、できれば所持金を増やしたい。


真珠はマリーの言葉に納得し、差し出されたネクタルのカップにささっている極太のストローを噛み砕いた。

甘くておいしい!!

ネクタルに付属しているストローは飴細工で作られているから、食べられるとマリーも真珠も知っている。


極太ストローを食べ終えた真珠は、マリーにネクタルを飲ませて貰ってご満悦だ。

真珠にネクタルを飲ませ終えたマリーは、フレンドのクレムにメッセージを送ろうと思い立つ。


「真珠。私、今からクレムにメッセージを書くから、ちょっと待っててね」


「わんっ」


「そうだ。真珠が退屈しちゃうから、手鏡を渡すね。ステータス」


マリーはステータス画面を出現させて、アイテムボックスから手鏡を取り出してテーブルに置く。

そして、椅子に座っていた真珠を抱っこしてテーブルに座らせた。

鏡で自分の姿を見るのが大好きな真珠は、尻尾を振って手鏡を覗き込む。

マリーは手鏡を覗き込んでいる真珠の頭を撫でて、クレムへのメッセージを書き始めた。



クレム。スイーツを奢る約束、ずっと守れなくてごめんね。

今、フローラ・カフェ港町アヴィラ支店でスイーツを買ってアイテムボックスにしまったから、会えた時に渡すね。


私は、今日は、晩ご飯前までゲームをプレイして、晩ご飯を食べ終えてお風呂とかに入った後は、夜更かししてずーっとゲームをプレイし続けようと思ってます。

クレムの都合がいい時に、連絡を貰えたら嬉しいです。

メッセージを貰った時にログアウトしてたら、返事が遅れると思う。ごめんね。



マリーはクレムへのメッセージを書き終えて送信した。


***


マリー・エドワーズがフローラ・カフェ港町アヴィラ支店で使った金額 3900リズ


ネクタル 2500リズ×1


フローラ・バナナマフィン 600リズ×1


フローラ・チョコチップクッキー 200リズ×1


フローラ・ミルクレープ 600リズ×1


マリー・エドワーズの現在の所持金 3687901リズ → 3684001リズ


光月14日 真夜中(6時59分)=5月29日 16:59

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