第七百九十話 5月28日/高橋悠里は音楽準備室で要と萌花からのメッセージを読んで返信する

音楽準備室で楽器を組み立て終わっても、悠里と颯太以外のサックスパートのメンバーは姿を見せない。

要は、今日は部活に来ないのだろうか……。

悠里は要からのメッセージが来ているかもしれないと思って、通学鞄からスマホを取り出した。

要と萌花からメッセージが来ている。

悠里は大好きな要のメッセージから確認することにした。



悠里ちゃん。球技大会の投票制度のこと、聞いた?

俺のバスケチーム、駄菓子セットをゲットするのと、好きな女子にいいところを見せたいっていうのでめちゃくちゃ燃えてて、今日もチーム練習することになったんだ。

部活だから練習抜けたいって言えない雰囲気で……。

だから、今日の部活は行けないかも。ごめん。

でも一緒には帰りたいから1年5組の教室で待っていてもらっていい?



要からのメッセージを読み終えた悠里は返信メッセージをタップする。



要先輩、バスケの練習頑張ってくださいね!!

部活が終わったら、私、1年5組の教室で要先輩のことを待っています。

明日の球技大会、私、要先輩に投票します!!



悠里は返信メッセージをタップし終えて送信した。

それから萌花からメッセージを確認する。



サックスパートのメンバーに一斉送信してます。

あたし、今日、球技大会の練習するから部活を休むね。

合奏できないのは残念だけど、駄菓子セットをゲットしようってクラスの子たちと燃えてます。

絶対に一回戦勝つから、投票する人決まってないなら、投票よろしく!!



「篠崎先輩、楽しそう……」


悠里は萌花からメッセージを読み終えて呟き『篠崎先輩、練習頑張ってください』とタップして送信した。

それからテナーサックスをストラップのフックに掛けた颯太に視線を向ける。


「今日、要先輩も篠崎先輩も部活お休みだって。サックスパートは私と相原くんの二人だけだね。合奏頑張ろうね」


「二人とも球技大会の練習?」


「うん」


「一回戦勝利で駄菓子セット貰えるし、優勝したら牧高食堂の食事券が貰えるから、皆燃えてるよなあ」


「他のパートの人たちも球技大会の練習に行ってたら、今日の合奏に参加する人数、少なそうだねえ」


「かもな。まあ、でもたまには少ない人数での合奏も面白いだろ。自分の音とかいつもよりちゃんと聞こえそうだし」


颯太はそう言いながら、空になったテナーサックスのサックスケースを棚にしまった。

悠里は通学鞄にスマホをしまって、空になったアルトサックスのサックスケースを棚にしまう。

大好きな要がいない部活は寂しいけれど、夏の吹奏楽コンクールで良い演奏をするために、合奏練習を頑張ろう。


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