第七百八十二話 マリー・エドワーズはイヴからのメッセージに記載された『ハーレムの指輪』というワードを見て混乱する
マリーは食事の手を止め、ステータス画面を出現させてフレンドからのメッセージを確認する。
真珠は冷製スープを舐め終えて、次の料理をおとなしく待っている。
マリーは表示されたフレンドからのメッセージを読んで眉をひそめた。
マリーの隣の席に座っているユリエルはマリーが眉をひそめていることに気づいて口を開いた。
「マリーちゃん、どうしたの?」
「今、フレンドのイヴさんからメッセージが来たんですけど……なんかよくわからなくて。ユリエル様は『ハーレムの指輪』って知ってますか?」
「えっ? 知らないけど……」
マリーは再度、目の前に表示されたイヴからのメッセージに目を通す。
♦
マリー、聞いてよ!!
ウェインがあたしに『最愛の指輪』をくれないの!!
あたしたち付き合ってるのに……!!
ワールドクエスト達成のためにNPCのエルフと協力関係になりたいから『ハーレムの指輪』を使うって言うの!!
マリーからも、ウェインに、あたしに『最愛の指輪』をくれるように言ってね。お願い!!
♦
……何度読んでも意味がわからない。
わからないことは聞いてみよう。
マリーはイヴへの返信を書き始めた。
♦
イヴさん。『ハーレムの指輪』ってなんですか……?
♦
マリーはそれだけを書いて送信した。
イヴからの返信が来るまでは食事を楽しもう。
マリーは運ばれてきた分厚いステーキと温野菜の付け合わせを見つめてそう思った。
マリーたちが食事を終え、真珠がマリーの膝の上に座り、和やかにお喋りをしていたその時、可愛らしいハープの音が鳴った。
フレンドからメッセージが来たようだ。
「すみません。フレンドからメッセージが来たので確認しますね。ステータス」
マリーはユリエルたちにそう言って、ステータス画面を出現させ、フレンドからのメッセージを確認する。
メッセージの送り主はイヴだ。
マリーはイヴからのメッセージを確認する。
♦
『ハーレムの指輪』の説明、サポートAIから聞かなかった?
♦
「聞いてないです……」
イヴのメッセージを読んだマリーは思わず言った。
マリーの言葉を聞いたユリエルが口を開く。
「マリーちゃん、イヴさんからのメッセージだった?」
「はい。『ハーレムの指輪』の説明、サポートAIさんから聞いてないのかって……」
「俺がログインした時には何も言ってなかったと思う。気になるね」
「気になります……」
聖人であるマリーとユリエルの会話はNPCたちには理解不能だ。
だが、ユリエルと過ごす時間が長い領主やレーン卿は慣れている。
ノーマも、聖人のマリーと友達付き合いをしているので、特に動じることはない。
側に控えている侍女長やナナも、口出しをすることはない。
マリーとユリエルはそれぞれ、ベッドのある部屋に戻り『転送の間』でサポートAIから話を聞くことにして、食堂を出た。
真珠はおとなしくマリーに抱っこされている。
***
光月7日 夜(5時50分)=5月27日 21:50
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます