第七百六十一話 マリー・エドワーズと真珠は教会の『復活の間』で、真珠は美少女主人公たちに囲まれているユリエルを見つける
マリーと真珠は『孤王の領域』から港町アヴィラの教会に死に戻り『復活の間』に立っていた。
「ユリエル様とマーキースはどこにいるかな?」
マリーは自分の周囲を見回しながら言う。
マリーが目視できる範囲内にはユリエルもマーキースもいないようだ。
「わんわぅ、わんっ」
真珠は自分がユリエルとマーキースを見つける!! と張り切って耳を澄ませ、匂いを嗅ぐ。
「わうわう、きゅうん……?」
真珠はユリエルの匂いを見つけた!!
でもユリエルじゃない匂いに囲まれている……?
「わうわう、わんっ」
ユリエルの匂いはするのだから、行ってみよう!!
真珠は元気よく走り出し、マリーは慌てて真珠の後を追う。
美少女主人公がたむろしている場所で立ち止まった真珠に、息を切らせたマリーが追いついた。
「真珠……。美少女なキャラに見とれるのはわかるけど、でも今はユリエル様を」
「わうわうー!! わんわぅ、わうー、わうお!!」
真珠は美少女主人公の群れに向かって吠えた。
マリーは見知らぬ美少女主人公たちに向かって突然吠えた真珠をびっくりして見つめる。
真珠が吠えた直後に美少女主人公の群れは二つに分かれ、中央をユリエルが歩いてきた。
「えっ!? ユリエル様!? なんで!? ユリエル様が美少女な主人公たちに囲まれてたのっ!?」
「わうわうー!!」
状況を理解できないマリーを置き去りにして、真珠は歩み寄るユリエルに向かって駆け出した。
「真珠くんが俺を探してくれたの? ありがとう。迎えに来てくれて助かったよ」
ユリエルは合流した真珠を抱き上げて言い、微笑む。
未だに状況を理解できないマリーだったが、とりあえず真珠を抱っこしたユリエルに歩み寄った。
「マリーちゃん。マーキースとは合流できた?」
「まだです。真珠、マーキースの匂いわかる?」
マリーの問いかけに真珠は鼻をひくつかせ、そして首を横に振った。
ユリエルは左腕だけで真珠を抱き、右手で真珠の頭を撫でながら口を開いた。
「『魔力枯渇』で死に戻りする場合はMP最大値が高いと時間が掛かるのかも」
「ユリエル様。あの、彼女たちはいったい……」
「マリーちゃん。プレイヤーの邪魔にならないように壁際に寄っていようか。真珠くん、マーキースが教会に死に戻ってきたらわかる?」
「わんっ」
真珠はユリエルの言葉に肯く。
真珠はマーキースの匂いを嗅ぎ分けて、探すことができる!!
真珠を抱っこしたユリエルが壁際に向かって歩き出したので、マリーは見知らぬ美少女な主人公たちを気にしながらユリエルの後に続く。
美少女な主人公たちの何人かは、笑顔を浮かべてマリーに手を振ってくれていた。
***
光月4日 早朝(1時30分)=5月26日 23:30
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