第七百五十七話 マリー・エドワーズたちはピンクの子猿を背中にへばりつかせた真珠を連れてプレイヤーの陣営に戻る
真珠は泣いていた。大泣きしていた。
真珠はただ、自分が地面に埋めたラブリーチェリーの若木に近づいてよく見たかっただけなのに。
プレイヤーから攻撃され、猿の群れから攻撃され、その攻撃を避けながら真珠は泣いた。
泣きながら、大好きな人たちの名前を呼ぶ。
「わうー!! わうわう!! わーうーう……!!」
泣きながら、大好きな人たちの名前を呼ぶ真珠の背中に、ピンクの子猿が飛びついた。
「ぎゃわあああああああああああああああああああああああああああああんっ!!」
プレイヤーの魔法攻撃をかわしていた真珠は、突然背中に異物がしがみつく感触に怯えて大泣きする。
「アー」
真珠の背中にへばりついたピンクの子猿は嬉しそうにしている。
ラブリーチェリーの若木の枝に乗り、真珠を攻撃していた猿の群れが困惑する。
「真珠……!!」
「わうー!!」
ユリエルから借りた『ガード・アンブレラ』でプレイヤーからの攻撃を防ぎながら、マリーは決死の表情を浮かべて大泣きする真珠へと足を進める。
「突出するな!!」
「あの子に攻撃しちゃったらPKになっちゃう……っ!?」
プレイヤーの一団から飛び出して、大泣きする真珠の元に向かうマリーたちを、プレイヤーたちが非難する。
今、マリーとユリエル、マーキースのプレイヤー善行値はすさまじい勢いで減り続けているが、本人たちはそれを知らない。
「うちの真珠がごめんなさい!! 攻撃しないで!! すぐに連れて帰ります……!!」
『ガード・アンブレラ』をかざしたマリーは必死にプレイヤーに謝りながら、大切なテイムモンスターの真珠の元へと向かう。
ユリエルとマーキースはマリーや自分たちに向けられた攻撃を魔銃から放たれる魔弾や魔法で相殺しながら歩みを進める。
「わうー!! わうわう!! わーうーう……!!」
ピンクの子猿を背中にへばりつかせたまま、泣きながら真珠がマリーたちに向かって走る。
ラブリーチェリーの若木の枝に乗っていたウッキーモンキーやラッキーウッキーモンキーたちが真珠を……正確には真珠の背中にへばりついたピンクの子猿を……追いかけ始めた。
「プレイヤーたちに当たらないように猿に攻撃!!」
一人のプレイヤーの掛け声で、マリーたちの存在ゆえに攻撃を控えていたプレイヤーたちが、再び攻撃を再開する。
マリーたちはピンクの子猿を背中にへばりつかせた真珠と共になんとかプレイヤーたちの陣営に戻ってきた。
***
光月3日 真夜中(6時52分)=5月26日 22:52
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