第七百二十三話 5月25日/高橋悠里は強制ログアウトした後、お風呂に入って髪を乾かしてログイン

祖母に身体を揺すられて強制ログアウトした悠里は、祖母に「お風呂が空いた」と伝えられ、パジャマを持って自室を出た。


お風呂に入り、髪を乾かし終えてトイレに行った後、悠里は二階に自室に向かう。


自室に足を踏み入れた悠里は、要と晴菜に強制ログアウトをして迷惑をかけたことを謝ろうとスマホを手に取った。

晩ご飯の時間やお風呂の時間を見計らって、自分でログアウトをするのは難しい。

『アルカディアオンライン』をつい、夢中でプレイしてしまうと時間経過がわからなくなってしまうのだ。


スマホの画面を見つめて悠里は口を開いた。


「要先輩からメッセージが来てる」


悠里はスマホの画面に要からメッセージを表示させて読み始めた。





マリーちゃんが強制ログアウトした後、俺とマーキースもログアウトすることにしたんだ。

それで、ログアウトした後にこのメッセージを書いています。


俺が起きるまでそのままにするように護衛騎士に命令したから、今、皆で客室のソファーの上で寝てると思う。


『アルカディアオンライン』は痛覚設定が0パーセントだから、座ったまま寝てても全然身体が痛くならないのがいいよね。リアルでやったら首とか腰とか痛くなりそうだけど。


今日、もうゲームで遊べなさそうなら『転送の間』でメッセージをくれると嬉しいです。

その時はマリーちゃんと真珠くんを領主館の部屋のベッドに寝かせておくね。





悠里は要からのメッセージを読み終えて微笑んだ。

マリーが強制ログアウトした後にユリエルとマーキースもログアウトしたと知って、ほっとする。


要に『要先輩、メッセージをありがとうございます。今からゲームにログインしますね』と記載して返信した。


「要先輩とはるちゃん、もうログインしたかなあ?」


悠里はそう呟きながらスマホを机の上に置き、それからベッドに放り投げたままのゲーム機とヘッドギアの電源を入れ、ヘッドギアをつける。

そしてベッドに横になり、目を閉じた。


「『アルカディアオンライン』を開始します」


サポートAIの声がした直後、悠里の意識は暗転した。


気がつくと、悠里は転送の間にいた。

無事にログインできたようだ。


「プレイヤーの意識の定着を確認しました。『アルカディアオンライン』転送の間へようこそ。プレイヤーNO178549。高橋悠里様」


フレンドからのメッセージも来ていないようだしサポートAIからのアナウンスも特に無いようだ。


「じゃあ、私、ゲームをプレイしますね」


「それでは、素敵なゲームライフをお送りください」


サポートAIの声に送られ、悠里は鏡の中に入っていった。



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