第七百二十一話 マリー・エドワーズはマーキースに銀貨5枚を返してもらい、ガラス瓶に入った錬金塩をもらう
部屋を飛び出したマリーは領主館の出入り口の扉を目指して走る。
マリーが履いている『疾風のブーツ』はAGI値を大幅に上げてくれるので、種族レベルが低く、能力値が低いマリーでも素早く走れる。
「わうー!! わんわぅ、わう!!」
マリーの背後から猛然と追いかけてきた真珠がマリーに並び、そしてマリーと真珠は領主館を出た。
「マリー、真珠!!」
領主館の門の前に立っていたマーキースがマリーと真珠の名前を呼んで手を振る。
「マーキース!!」
「わーうーう!!」
マリーと真珠は護衛騎士の間を突っ切って、マーキースに駆け寄る。
青色のローブを着たマーキースは笑顔でマリーと真珠を見つめ、口を開いた。
「会えてよかった。マリー、お金を返すね。はい、銀貨5枚」
「ありがとう」
マリーはマーキースから銀貨5枚を受け取り、アイテムボックスに収納する。
「そうだ。マリーにも錬金塩あげる」
マーキースはマリーと真珠だけに聞こえる小さな声でそう言って、アイテムボックスから塩が入ったガラス瓶を取り出してマリーに差し出す。
「いいの?」
「うん。ユリエル様に例のクエストの錬金塩を届けようと思ってたんだけど、あ、今メッセージ来たみたい」
マリーに塩が入ったガラス瓶を手渡したマーキースがフレンドからのメッセージを確認し始めたその時、可愛らしいハープの音が鳴った。
フレンドからのメッセージが来たようだ。
マリーは貰った塩の瓶を左腕の腕輪に触れさせ、アイテムボックスに収納して、フレンドからのメッセージを確認するためにステータス画面を出現させた。
「あっ。ユリエル様から、メッセージ来たっ」
「マリーも? あ……じゃなくてボクも。ユリエル様、迎えに来てくれるって。よかった。領主館に入れそう」
マリーはマーキースの言葉を聞きながらユリエルからのメッセージを確認する。
真珠はマーキースとマリーがメッセージの確認をしていて忙しそうな様子を見ながら、暇そうにしている。
マリーと真珠の世話係のナナは、領主館の扉を出たところで、どうしたらいいのか決めかねて、マリーたちを見守っている。
マリーへのユリエルからのメッセージには『今、ログインしました。マリーちゃんが目が覚めたらメッセージをください。今から領主館前にいるマーキースを迎えに行ってくるね』と記載されている。
「ユリエル様に返信した方がいいかなあ? もうすぐ、ここに来ると思うんだけど」
「ここに来るなら返信しなくていいんじゃない? 真珠、久しぶりだねえ。抱っこしてあげる」
マーキースはそう言って、暇そうにぼーっとしていた真珠を抱き上げた。
「わおん……っ!!」
真珠はマーキースに抱っこされて嬉しそうだ。
マーキースが真珠を甘やかし、マリーがそれを微笑ましく守っていると、領主館の扉が開いてユリエルが現れた。
領主館の扉の前に立っていた侍女のナナと、領主館の門を守っている護衛騎士が領主子息のユリエルに一礼する。
***
マリー・エドワーズの現在の所持金 3687001リズ → 3692001リズ ※マーキースに商人ギルドの登録料(銀貨5枚)を返してもらったため
風月29日 夕方(4時01分)=5月25日 20:01
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