第七百十四話 高橋悠里は要からのメッセージを読んで返信した後に晴菜にメッセージを送信してログイン



悠里は自室に足を踏み入れ、机に向かう。

それから机の上に置いていたスマホを手に取り、要からの返信が来ているか確認する。


「あっ。要先輩からメッセージが来てる……っ」


悠里は要からメッセージを表示させて読み始めた。





悠里ちゃん、メッセージをありがとう。

俺は無事に、家に帰ったよ。いつもの帰り道で、変わったことはなにもなかったんだけど、やっぱり少し緊張した。


悠里ちゃんから『行方不明になった生徒が二人いる』っていうことを教えてもらったから、噂を集めるのが好きな友達に連絡をしてみたんだけど、行方不明になったのは1年2組の図書委員らしいよ。


でも、登下校は、そんなに心配しなくてもいいかもしれない。

二人とも、昼休みから姿が見えなくなったっていう話だから、学校にいる時はなるべく一人にならないようにしようね。


俺はこれから『アルカディアオンライン』にログインする予定です。

時間が合ったら一緒に遊ぼうね。





要からメッセージを読み終えた悠里はため息を吐いた。


「やっぱり『行方不明になった生徒が二人いる』って本当のことみたい。怖い……」


でも、怖いと思っても、悠里にできることは何もない。

新型コロナの蔓延を怖いと思っていても、不織布マスクをつけて、人込みを避け、手洗いうがいをして、手指をアルコール消毒することしかできず、新型コロナの蔓延を止めることも新型コロナを消滅させることができないのと同じだ。


「要先輩に返信しよう。あと、はるちゃんにも『アルカディアオンライン』にログインするってメッセージ送ろう」


悠里は晴菜から『ゲーム内の借金、銀貨5枚を返したい』と言われている。

商人ギルドの登録料として、マーキースがマリーに銀貨5枚の借金をしてまだ返していないと言われたけれど、悠里はお金を貸したことすら忘れていた。


悠里は要に『これから『アルカディアオンライン』にログインします。ゲームにログインしたらユリエル様にメッセージを送ります』と書いて送信し、晴菜に『これから『アルカディアオンライン』にログインします。ゲームにログインしたらマーキースにメッセージを送るね』と記載して送信した。


「メッセージ送信終了っ。ゲームしようっ」


怖いことを考え続けても、怖くなるだけだ。

楽しいことを考えて、楽しいことをした方が楽しい。

悠里は『アルカディアオンライン』にログインする準備をして、ヘッドギアをつける。

そしてベッドに横になり、目を閉じた。


「『アルカディアオンライン』を開始します」


サポートAIの声がした直後、悠里の意識は暗転した。



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