第六百八十八話 高橋悠里は自分のプレイヤーレベルが11になったことを知り100円を換金した後に『最愛の指輪』を錬金できることを知り、ログアウトする



「あっ、そうだ。私、ユリエル様に贈る『最愛の指輪』を買わなくちゃ……っ」


圭と通話していて話題に出た『最愛の指輪』という言葉で、悠里はマリーがユリエルから素敵な『最愛の指輪』を贈られ、お返しをしようと考えていたことを思い出す。


悠里は充電していたゲーム機器を手にしてゲーム機とヘッドギアの電源を入れ、ヘッドギアをつける。

そしてベッドに横になり、目を閉じた。


「『アルカディアオンライン』を開始します」


サポートAIの声がした直後、悠里の意識は暗転した。

気がつくと、悠里は転送の間にいた。


「プレイヤーの意識の定着を確認しました。『アルカディアオンライン』転送の間へようこそ。プレイヤーNO178549。高橋悠里様。高橋悠里様のプレイヤーレベルが11になりましたのでお知らせ致します。これに伴い、高橋悠里様は一日あたりゲーム内通貨1100リズをリアルマネーの1100円に変換することが可能になりました」


「えっ!? 私、プレイヤーレベルが11になったの!? すごい!! 嬉しい!!」


ずっとプレイヤーレベル10だった悠里はサポートAIのアナウンスを聞いて、飛び上がって喜んだ。


「お金、100リズを100円に変換します」


悠里は今日、すでにゲーム内通貨1000リズを1000円に換金していたので増えた分の100円を換金したいと申し出る。


「作業中……。作業終了。高橋悠里様の登録口座に100円を入金しました。後程、お確かめください。高橋悠里様の現在の所持金は4184201リズです」


「すごい。なんでプレイヤーレベルが上がったんだろう? 上がったんだから、理由とか別にいっか。プレイヤーレベルが下がったら泣きたくなるけど」


悠里はプレイヤーレベルが11になったことを喜び終え、口を開いた。


「サポートAIさん。『最愛の指輪』のデザインを変更したいんですけど……。マリーが手に入れた『ウッキーモンキークイーンの涙』を指輪に埋め込むとかできますか?」


『孤王の領域』でマリーが手に入れた『ウッキーモンキークイーンの涙』は珍しいアイテムだから、それを指輪に埋め込むことができれば唯一無二の『最愛の指輪』になるかもしれない。


「確認します。確認中……。確認終了。『最愛の指輪』と『ウッキーモンキークイーンの涙』を錬金すれば可能です。但し、成功させるには一定値以上の錬金スキルレベルが必要です」


「錬金できるんだ。失敗したら『最愛の指輪』をロストするとか、そんなことはないよね?」


「錬金を失敗しても『最愛の指輪』はプレイヤー各位に贈られたユニークアイテムなのでロストしません。『最愛の指輪』以外の錬金材料はロストしたり変質する可能性があります」


「錬金が失敗したら『ウッキーモンキークイーンの涙』はロストするかもしれないんだ……。どのくらいのスキルレベルになったら『最愛の指輪』の錬金って成功しますか?」


「それは高橋悠里様がご自身でお確かめください」


「サポートAIさんはネタバレに厳しい……。でも錬金スキルをレベル上げしてユリエル様に贈るオンリーワンの『最愛の指輪』を作るっていう目標も見つけたし、頑張ろうっ」


『最愛の指輪』が錬金可能だという情報は情報屋に売れるだろうか。

さっき情報屋に会ってもらったばかりなので、今日、また時間を取ってもらうのは気が引ける。


でも、会う約束は取り付けておきたいと思いながら、悠里は情報屋に『明日の夜以降、情報屋さんが空いている時間があったら教えてください。売りたい情報があります』とメッセージを記載して送信し、ログアウトした。


その後、ゲーム機器を充電した後に、スマホでだらだら好きな漫画を読み、そして悠里は早めに就寝した。


***


高橋悠里の5月23日の換金額 100円


高橋悠里の貯金額 8600円 → 8700円


マリー・エドワーズの現在の所持金 4184301リズ → 4184201リズ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る