第五百九十二話 マリー・エドワーズと真珠はイヴに遭遇し、マリーはイヴに抱っこされて家に帰る決意を固める
マリーと真珠が『自分たち以外は誰も信じられない』というような顔をして周囲の様子を窺いながら『復活の間』を出た直後、真珠の目はマリーと真珠に向かって歩いてくるイヴの姿を捉えた!!
「わう!! ぎゃわん……っ!!」
今度こそ、真珠がマリーを守る!!
真珠はマリーからイヴを遠ざけるために、イヴに突進する……!!
だが、突進した真珠はイヴにあっさり捕獲されてしまった。
真珠はイヴの腕の中で暴れたが、逃れられない……!!
イヴは暴れる真珠の背中を撫でて彼を宥めながら口を開いた。
「真珠。ごめんって。もうマリーのこと、叩いたりしないから。今、マリーのHP最大値が1で、呪われたっぽい状態なんでしょ?」
真珠をあやしながら、イヴが言う。
マリーは呪われてはいないが『今、HP最大値が1』という『呪われたっぽい状態』であることは確かだ……。
「わう。くぅん?」
暴れるのをやめた真珠は、イヴがマリーにダメージを与えないと言っていることを信じていいのかわからずに首を傾げる。
マリーはイヴを警戒して、イヴから距離を取り、様子を窺っている。
礼拝堂を通り過ぎるプレイヤーや礼拝堂で祈りを捧げているNPCが、礼拝堂で立ち尽くすマリーと真珠、イヴをちらちらと見ている。
説法を行っている司祭は我関せずという顔で、話を続けている。
イヴは捕獲していた真珠を地面に下ろして微笑み、口を開いた。
「あたしがマリーを抱っこして、家に連れて行くよ。真珠は家までの道案内をよろしくね」
イヴはそう言って、真珠の意向を確認せずにマリーに歩み寄り、びくびくしながらイヴの様子を窺っているマリーを抱き上げた。
「マリー。暴れないでよ。ちゃんと家に連れて行くからね」
「わうー!!」
真珠はイヴに抱き上げられたマリーに駆け寄る。
スレンダー体形の美少女主人公のイヴだが、STR値が高いせいか、5歳の幼女であるマリーを軽々と抱っこしている。
真珠はイヴの足元から、マリーを心配そうに見上げた。
「わうー。くぅん……」
「真珠。私、覚悟を決めたよ。イヴさんに抱っこしてもらっておうちに帰る。私たち、今度こそ、きっと帰れるよ……」
凛々しい表情で言うマリーに、真珠も真剣な表情で肯く。
だが、シリアスな雰囲気を漂わせていると思っているのはマリーと真珠だけで、イヴは見つめ合い肯く幼女と子犬を微笑ましく見ていた。
マリーと真珠のやり取りが一段落したことを見て取ったイヴが口を開く。
「じゃあ、行こう。真珠、案内よろしくね」
「わんっ!!」
イヴにマリーと真珠の家である『銀のうさぎ亭』への道案内を頼まれた真珠は『必ずマリーとおうちに帰る!!』という決意を込めて力強く肯き、そして歩き始めた。
マリーを抱っこしたイヴが、歩き出した真珠の後に続く。
果たしてマリーと真珠は、今度こそ家に帰ることができるのだろうか……。
***
風月14日 朝(2時54分)=5月22日 0:54
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます