第五百八十九話 マリー・エドワーズと真珠はノーマの家で朝食を食べ終えた後にノーマの弟エドに突撃されて死に戻り、HP1の状態で『おうちに帰る』大冒険が始まる



マリーとシンジュはノーマやノーマの家族と楽しく朝食を食べ、お喋りをした。

真珠は蜂蜜が掛かったフレンチトーストを初めて食べて、感動した。

蜂蜜が掛かったフレンチトーストは甘くておいしくてやわらかくて、いい匂いがする。


「ごちそうさまでした」


「わうわうわううわう」


出された料理を綺麗に食べて、マリーと真珠は心を込めて『ごちそうさまでした』と言った。


「マリーちゃんもシンジュくんも残さず綺麗に食べてくれて嬉しいわ」


ノーマの母親がそう言うと、ノーマの弟ふたりが右手に持っている木のフォークを木の皿に打ちつけて、自分たちも綺麗に食べたと主張する。

グリック村の村長でもあるノーマの父親が、息子ふたりを『綺麗に食べて偉いね』と褒めた。

褒められたエドは得意げな顔をして、イギーは照れながらも嬉しそうだ。


真珠は椅子に座ったエドとイギーが楽しげに足をぶらぶらさせているのを眺め、マリーは褒められて嬉しそうな二人を微笑ましく見つめる。


「マリー!! あそぼー!!」


3歳のエドがマリーに突撃して言う。

マリーはHPに1のダメージを受けた!!

デメリットスキル『大泣き』の効果でHP上限が1になっていたマリーのHPが0になった!!

光に包まれるマリーと真珠を見て、ノーマたちが目を丸くする。


「私、教会に死に戻り……っ」


マリーの言葉は途中で途切れ、マリーと真珠の姿はノーマの家から消え去った。


気がつくとマリーは教会にいた。

マリーの足元には真珠もいる。

マリーは周囲を見回してため息を吐き、口を開いた。


「HP最大値1だと本当、すぐに死んじゃうんだね。幼児に突撃されてもダメージ1を受けちゃう……。そうだよね。荷馬車に揺られてお尻を打ちつけてもHPが1ずつ減るんだもんね……」


「わうー。くぅん……」


「真珠。ごめんね。私、死んじゃった。たぶん、もうしばらくHP1の状態が続くから、今日はおうちに帰ってベッドで寝ようね」


「わん」


真珠はマリーの言葉に肯く。

ノーマの家で食べたフレンチトーストはすごくおいしかったけれど、食事の後でノーマの弟たちにもみくちゃにされるかもしれないと思っていた真珠は、教会に死に戻れて実はほっとしている。

マリーは真剣な表情で真珠を見つめて口を開いた。


「真珠。私、転んでも人にぶつかっても死に戻っちゃうと思うから、慎重に歩くよ。頑張っておうちにたどり着こうねっ!!」


「わんっ!!」


マリーの言葉を聞いた真珠は力強く肯く。

マリーは、真珠が守る……!!


そしてマリーと真珠の、無事におうちに帰るための大冒険が始まった……!!


***


風月14日 朝(2時40分)=5月22日 0:40

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る