第五百八十六話 マリー・エドワーズは大泣きをしてロビーに抱きかかえられ、真珠はマリーの泣き声に気づいてマリーの元へと駆ける
悲しくて悔しくて、情けなくてマリーの目から涙があふれて頬を伝う。
「嘘だろ。泣くなよ……っ」
ロビーは泣き出したマリーに慌てて、言う。
泣くなと言われても、涙は急には止まらない。
「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああん……っ!!」
マリーは大泣きを始めた。
大声をあげて泣きわめくマリーを見て困り果てたロビーは、とりあえずマリーを抱き上げてあやすことにした。
リアルの弟が小さかった時、泣きわめいていると父親が抱き上げてあやしていたことを思い出したのだ。
「わあああああああああああああああああああああああああああああああああああああん……っ!!」
「抱き上げても全然泣き止まねえ。どうすんだ。これ……っ」
「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああん……っ!!」
ロビーは泣き続けるマリーを抱っこして歩き出す。
ロビーの母親や、子育て経験があるおばさんNPCであれば大泣きするマリーを泣き止ませることができるかもしれない。
「なんでこうなった……」
金曜日の夜、夜更かしをして『アルカディアオンライン』をプレイできると思って楽しみにしていたのに、なぜ自分は大泣きする幼女を抱きかかえて途方に暮れながら歩いているのだろう……。
「わああああああああああああんっ!! えぐっ。ふぐっ。うわああああああああああああああああああああああああん……っ!!」
マリーは時折しゃくりを上げながら、だが、一向に泣き止む気配を見せない。
大泣きするマリーを抱いて歩くロビーを、早朝から畑に出て作業をしている村人たちが何事かという顔をして見つめる。
「わうーっ!!」
マリーの泣き声を聞きつけてノーマに家から飛び出してきた真珠が、大泣きするマリーを抱きかけて歩くロビーの元に、必死に駆けてくる。
「じんじゅ……っ!! えぐっ。ひっく、うわああああああああああああああああああああああああんっ!!」
「シンジュくん。待って……っ!! マリーちゃん!? なんで泣いてるの……っ!?」
いきなり家を飛び出してしまった真珠を追いかけて走ってきたノーマが、大泣きしているマリーを見て驚き、声を上げる。
「どーばざあん、ごべんなさああい……っ!! わだし、だにもできだかったああああああああああっ!! わあああああああああああああああああああんっ……!!」
涙と鼻水に塗れながらノーマに謝り、泣き続けるマリーに駆け寄り、ノーマは両手を差し伸べる。
ロビーは大泣きし続けるマリーをノーマに差し出し、ノーマはマリーを抱き取った。
***
マリー・エドワーズのデメリットスキル経験値が上昇
大泣き レベル1(35/100) → 大泣き レベル1( 45/100)
風月14日 早朝(1時59分)=5月21日 23:59
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます