第五百七十四話 マリー・エドワーズは中級魔力回復薬の瓶を左手に持って『エリア・インビジブル』を発動し、真珠やクレムと一緒に西の森の最奥を目指して走る



マリーと真珠、クレムは西の森の入り口に立つ。

クレムはマリーと真珠に視線を向けて口を開いた。


「マリー。真珠。ここで、マリーの『エリア・インビジブル』を使って姿を消してから、走って一気に西の森の最奥へと向かおう」


「わかった」


「わんっ」


クレムの言葉にマリーと真珠は肯く。


「じゃあ私、さっきクレムに貰った中級魔力回復薬を手に持って『エリア・インビジブル』を使うね。ステータス」


マリーはステータス画面を出現させて、アイテムボックスから中級魔力回復薬を取り出し、瓶の蓋を開けてから、蓋を左腕の腕輪に触れさせて収納した。


「マリー。MP残量には気をつけろよ」


「うん。わかってる」


マリーはクレムに肯いて、左手に持っている中級魔力回復薬の瓶をクレムと真珠に見せた。

いつでも中級魔力回復薬を飲める準備を整えたことをアピールして、マリーは『エリア・インビジブル』を発動させた。

マリーと真珠、クレムの姿が消え、そしてそれぞれに西の森の最奥を目指して走り出す。


マリーと真珠、クレムの姿はスキル『エリア・インビジブル』の効果で互いに視認できない。

だが『白狼』である真珠は、鋭敏な嗅覚でマリーとクレムの匂いを感知し、一緒に西の森の最奥を目指しているとわかっていた。


マリーと真珠、クレムは道に迷うことなく、走って、走って、走り抜く。

マリーは走りながらステータス画面で自分の現在のMP値を確認し、左手に持っている中級魔力回復薬を飲むので忙しい。


モンスターに遭遇するもマリーたちの姿が消えているのでスルーされ、モンスター討伐をしているプレイヤーやNPCの戦いの中を通り抜け、走って走って、走り続けたマリーと真珠、クレムは西の森の最奥、霧が覆う場所に着いた。


「ま……りょく、そうさ、OFF……っ」



マリーは息を切らしながらクレムと真珠が、マリーと一緒に西の森の最奥、霧が覆う場所にたどり着いていると信じて『エリア・インビジブル』を解除した。

マリーの姿が現れ、マリーの傍らに真珠の姿が現れる。

マリーと真珠から少し離れた位置に、クレムの姿が現れた。

霧の穴を通るために並んでいたプレイヤーたちは、突然現れた幼女と子犬、少年の姿に目を丸くしている。


マリーとクレムは息を切らし、真珠は元気な足取りで、霧の穴を通るための列の最後尾に並んだ。

マリーはアイテムボックスから中級魔力回復薬の蓋を取り出して、中級魔力回復薬が少し残った瓶に蓋をしてアイテムボックスに収納する。


「みんなで、無事に、来られて……よかったね……」


マリーは息を切らしながら、真珠とクレムに笑いかけて言う。

真珠とクレムもマリーに笑顔を返して肯いた直後、サポートAIの声が響く。


「プレイヤーの身体に強い揺れを感知しました。強制ログアウトを実行します」


その言葉を聞いた直後、マリーの意識は暗転した。



***


マリー・エドワーズのスキル経験値が上昇


エリア・インビジブル レベル1(14/100) → エリア・インビジブル レベル1(30/100)


風月13日 夕方(4時50分)=5月21日 20:50




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