第五百二十五話 5月21日/高橋悠里は起床して部屋着に着替え、サンドイッチを作るためにキッチンへと向かい、手を洗った後に祖母を手伝う
……アラームの音がうるさい。
「んん……」
悠里は目を開け、枕元に置いたスマホを探して手に取る。
今の時間は7:00……今、7:01になった。
悠里はアラームを止め、あくびをする。
昨夜、日付が変わる時間までに眠れなかったら『アルカディアオンライン』をプレイしようと思ったけれど、どうやら眠ってしまったようだ。
眠れてよかったと思うべきか、寝てしまってゲームで遊べず残念だと思うべきか迷いながら、悠里は身体を起こした。
今日は要と待ち合わせをして部活に行く予定だ。
そして、お昼に食べるお弁当のサンドイッチをお祖母ちゃんと作るのだ。
パジャマのままで料理をするわけにはいかないので部屋着に着替える。
このあと、制服に着替えなくちゃいけないことを考えると面倒くさいが、仕方がない。
部屋着に着替えた悠里は脱いだパジャマを持って部屋を出た。
一階に行き、洗濯カゴに脱いだパジャマを入れた後、トイレに行って、悠里はキッチンに向かう。
キッチンにはエプロンをつけ、きゅうりを切っている祖母がいた。
三つ口のIHクッキングヒーターの左側ではじゃがいもを茹でていて、右側には四角い卵焼き機が置かれている。
悠里は祖母を見つめて口を開いた。
「おはよう。お祖母ちゃん」
きゅうりを切っていた祖母は手元から目を上げずに口を開く。
「おはよう。悠里。起きられたのね」
「うん。お祖母ちゃん、なに作ってるの?」
「ポテトサラダよ。じゃがいもが茹で上がったら、悠里が卵を茹でてちょうだい」
「わかった。今、やることある?」
「手は洗った?」
「まだ。洗面所で洗ってくるね」
悠里はキッチンを出て洗面所に向かった。
洗面所で手を洗い、キッチンへと戻った悠里は祖母の指示に従い、動く。
茹で上がったじゃがいもを銀のボウルに移して、同じ鍋で卵を茹で始めた後、茹で上がったじゃがいもが入った銀のボウルを持ってダイニングのテーブルに移動し、フォークの背で茹でたじゃがいもを潰し始めた。
ダイニングに朝刊を持った祖父が入ってきた。
祖父は真剣な顔つきでフォークを持ち、フォークの背で茹でたじゃがいもを潰している悠里に微笑み、口を開く。
「悠里。おはよう。早起きできたんだな」
「お祖父ちゃん。おはよう」
悠里はじゃがいもを潰しながら祖父に挨拶を返す。
祖母がダイニングに現れ、悠里がじゃがいもを潰している銀のボウルに、塩もみして水気を切ったきゅうりとたまねぎ、ハムを入れた。
「悠里。塩コショウとマヨネーズでポテトサラダの味付けをしてみる?」
祖母に問いかけられた悠里は首を横に振って口を開いた。
「しない。失敗したらせっかく作ったポテトサラダがおいしくなくなっちゃうもの」
「でもやってみないと、味付けができるようにならないわ。三分の一だけ取り分けて、悠里が味付けをしてみなさい。今、取り分けるボウルやマヨネーズを持ってくる」
そう言って祖母はキッチンに向かう。
朝刊を読みながら、祖父は横目で悠里を心配そうに見ている……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます