第五百一話 マリー・エドワーズは『エリア・インビジブル』のスキル説明を読み『クリーン』を取得した後、真珠は究極の二択を迫られる
「あのね。真珠。私ね、さっき『エリア・インビジブル』っていうスキルを創造して習得したの」
「わうわ・わんわわうわ?」
「そう。『エリア・インビジブル』だよ。このスキルがあれば私と真珠の姿が見えなくなって、お母さんやお祖母ちゃんに見つからずにベッドがある部屋に行けるんだよっ」
「くぅん。わうーん、きゅうん……」
真珠はマリーが『クリーン』を取れなくなってしまったと思って悲しくなった。
耳をぺたんと頭にくっつけて、尻尾が力なく垂れさがった真珠を見てマリーは慌てる。
「えっ!? なんで真珠、元気なくなっちゃったの!?」
「わうーん……」
「真珠は『わうーん』が欲しくて元気が無いの!?」
「わん……」
ベッドに上がる前に『クリーン』をかけて欲しかった真珠は力なく肯く。
「わうーん……。わうーんってなに? わうっうはスロットで、わんわわうわはアンブロシアで……わうーんは? わかんない。閃きが足りない……っ」
「マリー。頭抱えて呻いてる場合じゃないぞ。『エリア・インビジブル』のスキル説明を読め」
「わかった。じゃあ、私がスキルの説明を読んでる間、クレムは『わうーん』の意味を考えてね。真珠は『わうーん』が欲しくて元気が無くなっちゃったんだけど、私は『わうーん』が何かわからないの」
「それでマリーは頭を抱えてたのか。了解。考えてみる。クイズとか解くの嫌いじゃないし」
「よろしく」
マリーはそう言っていつの間にか消えていたステータス画面を出現させて『エリア・インビジブル』をタップし、『エリア・インビジブル』の説明を表示させた。
クレムは真珠に『わうーん』について聞き取りをしている。
♦
エリア・インビジブル
コモンスキル/魔法スキル。
人や物を指定して唱えると、指定されたものが見えなくなる。
複数の人や物を指定することが可能。
レベル1の時、一つ指定するごとに1秒につきMPを5消費する。
レベル1の時は足音や匂い、影や手触りを消すことはできない。
使用する時にはエリア・インビジブルをかけたい対象の名前を言って「魔力操作ON」「エリア・インビジブルON」と言う。
「魔力操作ON」と「エリア・インビジブルON」の順番が逆になっても構わない。
終了する時には「エリア・インビジブルOFF」か「魔力操作OFF」と言う。
「エリア・インビジブルOFF」の場合は魔力操作は継続となる。
MPが0になると自動的に解除される。
【習得する/習得しない】
♦
「えっ!? 嘘っ。私と真珠に『エリア・インビジブル』を発動したら1秒にMPが10減るってこと!?」
「気づいた? そうなんだよ」
クレムは真珠への『わうーん』についての聞き取りを中断してマリーに視線を向けた。
「私、今、MP最大値40しかないけど!!」
「マジか。じゃあ、実質3秒しか『エリア・インビジブル』が発動できないってことか。スキルポイントを使ってMP最大値を上げればもうちょっと猶予ができそうだけど」
「せっかくスキル創造でスキルポイントを節約できたのに、MP最大値を上げるために使いたくないっ。そうだ。もう『クリーン』を取っちゃおう」
マリーは真珠のためにスキルポイントで『クリーン』を取得することにした。
「わうーんっ!?」
真珠はマリーの『クリーン』という言葉に反応した。
「真珠。もしかして『わうーん』は『クリーン』なのか?」
クレムの言葉に真珠は何度も肯く。
マリーはスキル習得画面で『クリーン』を取得した。
そしてマリーは真珠に視線を向けて笑顔で口を開く。
「真珠っ。『クリーン』を取得したよっ。これで真珠がベッドの上に乗る前に『クリーン』をかけてあげられるよ。……次回から」
「くぅん?」
「今回はお母さんやお祖母ちゃんに怒られないために『エリア・インビジブル』を発動させるから、真珠を綺麗にするためのMPが無いの……」
「くぅん……」
真珠はマリーの言葉を聞いてがっかりした。
マリーは真珠の前にしゃがみ込み、彼の青い目を見つめて口を開く。
「真珠。お母さんとお祖母ちゃんに怒られて『クリーン』を使うのと、お母さんとお祖母ちゃんの目をごまかすために『エリア・インビジブル』を使って真珠に『クリーン』を使えないのとどっちがいい?」
真珠はどっちも嫌だ!!
真珠が高速で首を横に振っていると、クレムが真剣な表情を浮かべて口を開いた。
「真珠。人とテイムモンスターには、嫌でもどっちかを選ばなきゃいけない時があるんだ」
真珠は究極の二択を迫られている……!!
***
マリー・エドワーズの追加スキル
コモンスキル『クリーン』レベル1
マリー・エドワーズのスキルポイント 4059P → 3059P
風月8日 真夜中(6時25分)=5月20日 16:25
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