第五百話 マリー・エドワーズはクレムに『インビジブル』というスキルを教えてもらい『エリア・インビジブル』を創造して習得する



「マリー。どういう状況になれば怒られなくて済むと思う?」


クレムはどんよりと暗い顔をしているマリーに問いかける。

マリーは少し考えて口を開いた。


「えっと、お母さんとかお祖母ちゃんに見つからないようにいつも寝ている部屋に入って、ロ……じゃなくてゲームを終わればとりあえず怒られなくて済むと思うんだよね。今の時間帯だとお父さんやお母さんが部屋で寝てるかもしれないんだけど」


「じゃあ、このスキルかなあ」


クレムはステータス画面を出現させて、スキル習得画面で『インビジブル』を検索した。

『インビジブル』の説明文を読みながらクレムは口を開く。


「なあ。マリー。今、スキルポイントはどのくらいある?」


「今の私は結構スキルポイント持ってるよっ。4000P以上はあるよ」


マリーはドヤ顔で答える。

初回KPをSPに変換したのでたくさんあるのだ。

今度はノリと勢いでスキルを取得して後悔することが無いようにしたいとマリーは思う。

正直『淑女の嗜み』スキルの恩恵は、現状、全く受けている気がしない……。


今は綺麗好きでベッドの上に上がる時に足の汚れを気にする真珠のために『クリーン』を取得したいと思っている。

時間がある時に『魔術師ギルド』にも行ってみたい。

お金を払って『クリーン』が使えるようになるのなら、全財産をつぎ込んでも構わない。

今のマリーには借金が無いので散財しても大丈夫!!

お金を払って『クリーン』を取得できればそうして、そうでなければスキルポイントをつぎ込んで『クリーン』を取得するつもりだ。


「じゃあ、イケるか。マリー。スキル習得画面で『インビジブル』を検索して」


「わかった。ステータス」


マリーはステータス画面を出現させて、クレムに言われた通りに『インビジブル』を検索した。

真珠は虚空を見つめるマリーとクレムを、お座りをしておとなしく見守る。

マリーは『インビジブル』の説明を表示させた。





インビジブル【習得要SP3500/未習得】



コモンスキル/魔法スキル。


人や物を指定して唱えると、指定されたものが見えなくなる。


レベル1の時、1秒につきMPを1消費する。

レベル1の時は足音や匂い、影や手触りを消すことはできない。


使用する時にはインビジブルをかけたい対象の名前を言って「魔力操作ON」「インビジブルON」と言う。

「魔力操作ON」と「インビジブルON」の順番が逆になっても構わない。


終了する時には「インビジブルOFF」か「魔力操作OFF」と言う。

「インビジブルOFF」の場合は魔力操作は継続となる。


MPが0になると自動的に解除される。



【習得する/習得しない】





「このスキルを取ったら『クリーン』が取れなくなっちゃう……っ」


「ぎゃわんっ」


マリーの言葉を聞いた真珠はショックで涙目になる。

真珠はベッドに乗る前に『クリーン』をかけてほしい!!


「しかも『エリア・インビジブル』じゃないと私と真珠の両方を見えなくすることって出来ないんじゃないの……?」


「『エリア・インビジブル』とか聞いたこと無いな」


クレムがそう言った直後、サポートAIの声が響く。


「マリー・エドワーズがスキルの創造に成功しました。スキル『エリア・インビジブル』を習得しました。これ以後、プレイヤーはスキル習得画面で『エリア・インビジブル』を習得できます」


「来たーっ!! サポートAIさんは私と真珠を見捨てなかった!!」


「わうー。くぅん?」


サポートAIの声を聞くことができない真珠は、おおはしゃぎしているマリーを不思議そうな顔で見つめる。

マリーは真珠の前にしゃがみ込み、真珠の青い目を見つめて口を開いた。


***


マリー・エドワーズの追加スキル


コモンスキル『エリア・インビジブル』レベル1


風月8日 真夜中(6時21分)=5月20日 16:21

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る