第四百八十七話 マリー・エドワーズはマギーからラブリーチェリーの種から芽が出たという話を聞き、雑談をしながら情報屋の『ルーム』に入る
マギーとクレムは動く階段に乗って『ルーム』に向かう途中で自己紹介を済ませ、それからマギーはマリーに視線を向けて口を開いた。
「私、マリーちゃんにお礼を言いたくて、メッセージを送ろうと思っていたの。この前、マリーちゃんが情報屋に売って、私が買ったラブリーチェリーの種があったでしょう? その種から芽が出たのよ。私、すごく嬉しくて。マリーちゃん。ありがとう」
マギーの言葉を聞いたマリーは笑顔になり、口を開いた。
「芽が出たんですねっ。すごいっ。私は今日、真珠と一緒に庭にラブリーチェリーの種を埋めたんですよ」
「わうー、わんわぅ、わううっ」
「そうなの。きっとマリーちゃんと真珠くんが埋めた種からも芽が出るわね」
マギーの言葉を聞いたマリーと真珠は嬉しくて、互いに視線を合わせて微笑む。
話についていけないクレムが口を挟んだ。
「なあ。ラブリーチェリーってなに? オレ、聞いたことないけど。名前ダサくね?」
「クレムはワールドクエスト『ウッキーモンキークイーンへの求婚騒動』を受注しなかったの? そのクエストで出てきたさくらんぼみたいな果物なんだよ」
「一応受注はしたけど、オレ、その時は錬金に没頭しててさあ。結局WP1しか貰えなかったんだよなあ」
「私もWP1しか貰えなかった……」
クレムの言葉を聞いたマリーはワールドクエスト『ウッキーモンキークイーンへの求婚騒動』のリザルトを思い出して落ち込む。
「えっ!? マリーちゃん、ワールドクエスト『ウッキーモンキークイーンへの求婚騒動』でWP1しか貰えなかったの……っ!?」
ワールドクエスト『ウッキーモンキークイーンへの求婚騒動』でマリーや真珠とパーティーを組んでいたマギーが驚いて言った。
「そうなんです……。マギーさんやアーシャとパーティーを組んでいたおかげで私も真珠も種族レベル経験値は貰えたんですけど……」
「そうなのね。ねえ。パーティーメンバーがワールドクエストのモンスター討伐をしても、自分がモンスター討伐をしていなければWPは貰えないっていうその情報、まだ売っていなければ情報屋に売りつけてやればいいと思うわ。あいつ、私からめちゃくちゃぼったくってるから今、お金はあるわよ。マリーちゃんが情報屋から情報料を搾り取ってやって」
マギーの言葉に不穏なものを感じ取ったマリーと真珠は怯んだ。
だがクレムはひるむことなく突っ込んでいく。
「ぼったくられてまで、何の情報を買ったんだ?」
「『最愛の指輪』関連の情報よ。私、どうしても指輪を受け取ってほしいNPCがいるの」
マギーが真剣な表情を浮かべて言う。
それはレーン卿のことだろうなあと思いながらマリーは黙っていた。
真珠はおとなしくクレムとマギーの話を聞いている。
クレムはそれ以上その話を掘り下げることはなく、話題が変わる。
マリーたちは雑談をしながら情報屋の『ルーム』に入り、情報屋と挨拶を交わす。
そしてマリーと真珠、マギーが並んで革張りのソファーに座り、クレムと情報屋がマリーたちの向かい側のソファーに並んで座った。
***
風月8日 夕方(4時54分)=5月20日 14:54
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます