第四百八十六話 マリー・エドワーズたちは迎えに来てくれたマギーと合流し、情報屋の『ルーム』に向かう
マリーとクレムが席を立ち、真珠が椅子から飛び下りると、神官が机の上のトレイや紙ゴミ等を片づけてくれた。
マリーとクレム、真珠はトレイや紙ゴミ等を片づけてくれた神官にお礼を言ってカウンターに向かう。
マリーはカウンターで会員カードを返してもらい、情報屋の『ルーム』に行きたいと告げようとして言葉に詰まった。
「マリー。どうした?」
「わうー?」
言葉に詰まったマリーにクレムと真珠が声を掛ける。
マリーはクレムに視線を向けて口を開いた。
「クレム。情報屋さんの名前って何だっけ?」
「確かデ……。今、フレンドリストを確認する。ステータス」
さっき情報屋とメッセージのやり取りをしたばかりのクレムも情報屋のフルネームを思い出せず、フレンドリストを確認するためにステータス画面を出現させたその時、カウンター内にいる神官が口を開いた。
「恐れ入ります。聖人様。聖獣様。カウンターから離れて頂けますか? 階段が出現します」
神官の言葉を聞いたマリーとクレム、真珠は慌ててカウンターから離れる。
その直後に『ルーム』に続く階段が現れ、長身で赤毛、浅黒い肌のセクシーな女性が姿を現した。
「マギーさんっ!!」
「わんわんっ!!」
マギーに会えて嬉しいマリーと真珠は大喜びする。
「マリーちゃんたちが情報屋の『ルーム』に来るっていうから、迎えに来たわ。久しぶりに会えて嬉しい。待っててね。今、カウンターに断りを入れてくるから」
マギーはそう言ってカウンターに向かう。
クレムは情報屋のフルネームを調べなくてよくなったらしいと思いながらステータス画面を消した。
「お待たせ。まずは情報屋の『ルーム』に行きましょう。自己紹介はそれからさせてね」
マギーはクレムに微笑んで言い、クレムは肯く。
マリーは年上の美女の笑顔にきゅんとするクレムが見られるかもしれないとわくわくしながら観察していたのだが、クレムは平静だった。
……つまらない。
真珠が誰よりも早く『ルーム』に続く階段に駆け寄り、飛び乗った。
階段におすわりをして待機している真珠を見て、真珠が自分で階段を動かしたいのだとわかったマリーは、マギーとクレムに視線を向けて口を開く。
「あの、真珠が階段を動かすから、階段に乗っても誰も何も言わないでほしいの。お願いします」
「わかったわ。真珠くんに任せる」
「オレもそうする」
「ありがとう。マギーさん。クレム」
マリーはマギーとクレムに微笑み、階段の上におすわりをしている真珠の元へと向かった。
真珠はマリーとマギー、クレムが階段に乗ったことを確認して立ち上がり、耳をぴんと立てて口を開いた。
「わおお、わんっ!!」
真珠が勇ましく吠えると、階段が下に向かって動き出す。
マリーは真珠に微笑み、口を開く。
「真珠。『下りON』を言えたね。よかったね。真珠はすごいね」
「わんわぅ、わううっ」
マリーに褒められて嬉しそうに尻尾を振る真珠に、マギーとクレムは温かいまなざしを向けた。
***
風月8日 夕方(4時47分)=5月20日 14:47
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