アルカディアオンライン【高橋悠里 中学一年生・一学期終了編】
第四百八十四話 マリー・エドワーズがユリエルとアーシャにメッセージを送信した後に、真珠は自分のチョコチップクッキーを1枚残してマリーに差し出す
第四百八十四話 マリー・エドワーズがユリエルとアーシャにメッセージを送信した後に、真珠は自分のチョコチップクッキーを1枚残してマリーに差し出す
マリーはユリエルへのメッセージを書き始めた。
♦
ユリエル様。
領主様と楽しい時間を過ごしていますか?
私はさっき、アーシャさんからメッセージをもらいました。
アーシャさんは今、領主館にいるのだそうです。
ユリエル様がもし、よかったら、アーシャさんとレーン卿を一緒に食事に誘うとか、そういうことはできますか?
アーシャさんはレーン卿に最愛の指輪』を渡したいのだそうです。
もし、できたらでいいんですけど、アーシャさんのお願いを聞いてもらえたらすごく嬉しいです。
わがままを言ってごめんなさい。どうぞよろしくお願いします。
♦
マリーはメッセージを読み終えて、少し迷った後に送信した。
ユリエルの迷惑になったら申し訳ないと思うけれど、でもマリーはアーシャのためにできることをしてあげたい。
それからマリーはアーシャに『ユリエル様にメッセージを送信しました。アーシャさんのことを応援しています。頑張ってください!!』とメッセージを記載して送信する。
「……疲れた。クローズ」
ステータス画面を消したマリーはカフェラテを一口飲んで、息を吐く。
「わうー。わっうー、わうう」
真珠はマリーにあげようと1枚残しておいたチョコチップクッキーとマリーを交互に見て、言う。
「真珠。もしかしてチョコチップクッキーを私にくれるの……?」
「わんっ」
真珠は肯く。
真珠は少し元気が無いマリーにおいしいクッキーを食べさせてあげたい。
マリーに笑顔になってほしい!!
「真珠。ありがとう!! 大好き……!!」
マリーは感激してそう言った後、真珠に向けて両手を広げる。
真珠はテーブルからマリーの膝の上に飛び下りた。
マリーが真珠をぎゅっとだきしめた直後、マリーと真珠の身体は光に包まれる。
マリーは死んでしまった……。
「マリー。今ので死に戻りとか、マジか……」
情報屋へのメッセージを送信し終えたクレムが一部始終を見て呆然と呟く。
最大HP値が1というのは、テイムモンスターが勢いよくジャンプして膝に乗ったら死んでしまうほど虚弱だということらしい……。
気がつくとマリーは教会にいた。
マリーの足元には真珠もいる。
マリーは周囲を見回して驚いた。
「えっ? 嘘。教会? なんで……? 何が起きたの……?」
マリーは事態を呑み込めず、混乱する。
「わうー。くぅん……」
真珠が不安そうにマリーを見つめる。
マリーは真珠の頭を撫でながら、気持ちを落ち着かせた。
「とりあえずフローラ・カフェに戻ろう。クレムを置いてきちゃったし、会員カードも置いたままだし」
自分に言い聞かせるようにそう言ったマリーに真珠も肯く。
そしてマリーと真珠はクレムが待つフローラ・カフェ港町アヴィラ支店に向かった。
***
風月8日 夕方(4時31分)=5月20日 14:31
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます