第四百八十二話 マリー・エドワーズがカフェスイーツを堪能しているとフレンドからメッセージが届き、ステータス画面を開くとHP最大値が1になっていることに気づいてフリーズする



マリーと真珠は自販機での買い物を終え、『フローラ・バナナマフィン』を1つと『フローラ・チョコチップクッキー』を2枚、それから『フローラ・ミルクレープ』1つと『フローラ・カフェラテ』1つを乗せたトレイを持ったマリーは真珠と共にクレムが待つテーブルへと戻る。


前回、マリーはトレイが重くて一人で持てなかったが、今回はよろめきながらもなんとかトレイを席に運ぶことができた。

前回は『フローラ・カフェラテ』を2つ乗せていたけれど、今回は『フローラ・カフェラテ』が1つなのでトレイが少し軽くなっていたのかもしれない。


フローラ・カフェの店内で働く神官は、頑張ってトレイを運ぶマリーをひそかに見守っていた。


「マリー。真珠。おかえり」


テーブルの席に着いていたクレムがチョコチップクッキーを片手に持ち、マリーと真珠を迎えてくれた。


「ただいま。クレム」


「わわうわ」


マリーと真珠はそれぞれにクレムに応える。

それから、マリーはテーブルにトレイを置こうとして腕をプルプルさせた。

クレムがマリーを手伝おうと手に持っていたチョコチップクッキーを全部口に押し込んでいると、マリーを見守っていた神官が素早く動き、マリーのトレイをテーブルに置いてくれた。

マリーは神官に笑顔を向けて口を開く。


「ありがとうございます。神官さん」


「どういたしまして」


白いローブを着た神官は優しく微笑み、その場を立ち去る。

出遅れたクレムは急いで食べたチョコチップクッキーをもっと味わって食べればよかったと少し後悔した。


マリーは真珠を抱き上げてクレムと向かい合う座席に真珠を座らせる。

そしてマリーは真珠の隣に座った。


「真珠。まずは私のミルクレープを一口あげるね」


「わんっ!!」


フローラ・カフェ港町アヴィラ支店の『フローラ・ミルクレープ』は正方形で、フォーク等を遣わず手で持って食べる仕様だ。

『アルカディアオンライン』の食べ物はすべてデータなので、清潔さ等を気にする必要はない。

手の汚れ等も関係ない。汚れているように見えてもそれは汚れではなくデータだし、汚れが気になるようならリープかログアウトをして再度ゲームにログインすれば綺麗になる。


マリーは正方形のミルクレープを一口サイズにちぎって真珠の口に入れた。

真珠は甘いクリームと薄く焼いて重ねられたクレープ生地のおいしさを気に入った。


「真珠。ミルクレープ、おいしい?」


マリーに問いかけられた真珠は何度も肯く。

二枚目のチョコチップクッキーを手にしたクレムが真珠の世話を焼いているマリーを見て、口を開いた。


「マリー。真珠の世話ばっかり焼いてたら、マリーが食べられないだろ? 真珠をテーブルの上に乗っければ? その方が真珠も自分のペースで食べられるだろうし」


クレムの提案を聞いたマリーは真珠の意向を確認するために口を開く。


「真珠。テーブルの上に乗ってバナナマフィンを食べる?」


マリーの言葉を聞いた真珠は少し考えてから首を縦に振った。

真珠はマリーに食べさせてもらえるのは嬉しいけれど、それでマリーが食べられなくなるのは嫌だ。


マリーは真珠を抱っこしてテーブルの上に置き、そして真珠が食べやすいように真珠のバナナマフィンの紙のパッケージを破って取り去り、真珠の前にバナナマフィンを乗せた皿を置いた。

テーブルに乗った真珠はバナナマフィンにかぶりつく。

マリーは真珠に一口あげたミルクレープを自分も食べて、カフェラテを飲んだ。

おいしい。

マリーが笑顔になったその時、可愛らしいハープの音が鳴った。

フレンドからのメッセージが来たようだ。


「今、フレンドからメッセージが来たみたい。確認するね。ステータス」


マリーは同席している真珠とクレムに一言断りを入れ、ステータス画面を出現させ……そして自分のステータス値を凝視した。

HP最大値が1になっている……!!


***


マリー・エドワーズの現在の所持金 3495501リズ → 3492401リズ ※クレムと真珠が1000リズ・マリーが1100リズを使ったため


風月8日 夕方(4時12分)=5月20日 14:12



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