第四百四十七話 高橋悠里と祖母は『アルカディアオンライン』の話をして母親にGPの説明をする
悠里は祖母と『アルカディアオンライン』の話をしながら母親が作ってくれたシチューをおいしく食べた。
食後のデザートにオレンジゼリーを食べていると、祖母が口を開く。
「そういえば『固有クエスト』とかいうのが発生してね。『難破船から投げ出された王子を救え!!』っていうものだったの」
「なにそれ、素敵!! 『人魚姫』みたい……!!」
祖母の言葉を聞いた悠里は目を輝かせ、母親は話に食いついた。
「お祖母ちゃん。王子様って美形だった?」
母親の言葉を聞いた祖父が不機嫌な顔になる。
祖母は苦笑して口を開いた。
「それがね、私じゃない人魚の女の子が王子様を助けて陸地に連れて行ったみたい。クエスト未達成という表示が出たわ」
「お祖母ちゃん。もったいない……っ」
「玉の輿に乗れたかもしれないのに……っ」
悔しがる悠里と母親とは反対に、祖父の機嫌がよくなった。
「そういえば、お母さんはまだ主人公を選ばないの?」
祖母が祖父の湯飲みに緑茶を注いでいるのを見ながら、何気なく悠里が問いかけると、母親は首を傾げて口を開く。
「別に主人公とか選ばなくても楽しいわよ。鏡見てファッションショーをしてるだけで」
「ゲームの楽しみ方はひとそれぞれだけどさあ……。じゃあGPとか貰ってる? お母さんは毎日ご飯作ってくれてるからいっぱい貰えると思うんだけど」
「じーぴーって何?」
不思議そうな顔で言う母親に、祖母が微笑んで口を開いた。
「GPっていうのは『頑張ったポイント』の略称よ。朝食を作った/昼食を作った/夕食を作った/朝食を食べた/昼食を食べた/夕食を食べた/学校に行った/仕事に行ったという項目を満たすと貰えるのよ」
「そうだよ。それで、GPを貯めるといろんなお得な商品と交換することができるんだよ」
「お得な商品ってどんな物があるの?」
母親の問いかけに祖母は首を傾げて口を開く。
「私はまだ少ししかGPが貯まっていないから、どんな商品が貰えるのかはわからないの。悠里は知ってる?」
「知ってるけどお祖母ちゃんとお母さんには内緒っ。お祖父ちゃんには教えてあげるね」
悠里はそう言って祖父のところに行く。
「あのね。さっきお祖父ちゃんにお願いした花束はGPと交換したんだよ」
「そうか」
祖父だけに聞こえる小さな声で悠里が言うと祖父は頬を緩ませて肯いた。
「お祖父ちゃんだけ特別扱いするのね。悠里は」
母親がつまらなそうに言うと、祖母が母親を宥める。
そして母親と祖母は晩ご飯の後片付けを始めた。
悠里も祖母と母親を手伝って、汚れた食器をキッチンに運んだ。
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