第四百四十五話 高橋悠里はKP(初回)を取得して、取得KPをGPとSPに変換し、自宅に花束を二つ、ユリエルにタオル(5枚組)を送ってログアウトする



「サポートAIさん。私、KPを取得したいです」


「初回のKP申請の際は過去の傷ついたできごとについての申請も可能です。二回目以降のKP申請の場合は『現在傷ついていること』のみになります。宜しいですか?」


「よろしいですっ」


悠里は肯き、今日の話し合いのこと、今まで自分が意地悪な三年生の先輩にされて傷ついたことをサポートAIに話した。


「確認します。プレイヤーNO178549。高橋悠里様の脳波確認。確認中……。トゥルース。高橋悠里様に3500KPが付与されます」


「3500KP!! それって多いの? 少ないの?」


「ワタシには判断しかねます」


「そっかぁ。でも、傷ついたことがお得なKPになったんだから嬉しいかも」


その後、悠里は自分が傷ついたことを思い出しながらサポートAIに伝え、最終的に6851KPを取得した。


「私ってあんまり傷つかない人生を送ってるんだね……」


「たぶん、忘れてしまった痛みや苦しみがあるのだと思います。日々KP申請をすると痛みを忘れることなくKPを取得できるのではないでしょうか」


「傷つくことがあるのは嫌だなあと思うけど、でも、傷ついたことがお得なKPに変換されるのは嬉しい。KP、何に変換しようかなあ?」


足が汚れていることを気にする真珠のために『クリーン』習得を目指して全部SPに変換するべきか、それとも要にタオルをプレゼントするためにGPに変換するべきか……。

母親は元気になったけれど、今年の母の日をスルーしてしまったのでGPで花束を贈るのもいいと思う。

いつも優しい大好きな祖母にも花束を贈りたい。

悠里は目の前にGP交換リスト一覧を見つめながら口を開いた。


「サポートAIさん。3000KPをGPに変換して、残りをSPに変換するとかできる?」


「可能です」


「じゃあ、それでお願いします」


「作業中……作業終了。3000KPを3000GPに変換しました。高橋悠里様の現在の取得GPは3014GPです。3851KPを3851SPに変換しました。高橋悠里様の現在の取得SPは4057Pです」


「えっと、それから、GPと商品を交換したいです。花束を自宅に二つ、タオル(5枚組)を私のフレンドのユリエル様にプレゼントしたいです。できますか?」


「花束を高橋悠里様の自宅に二つ、プレイヤーNO2985490ユリエル・クラーツ・ アヴィラの自宅にタオル(5枚組)を届けるということで宜しいですか?」


「よろしいですっ」


「ユリエル・クラーツ・ アヴィラへの荷物の送り主の名前はマリー・エドワーズとなりますが宜しいですか?」


「自宅への荷物はマリーの名前じゃないの?」


「ご自宅への荷物の送り主の名前は『高橋悠里』となります」


「そうなんだ。じゃあ、そうしてください」


「かしこまりました。花束二つはGP2000、タオル(5枚組)はGP1000です。高橋悠里様の現在の取得GPは14GPです」


「GPが一気に減った……。えっと、私、朝ご飯と給食を食べたので2GPくださいっ」


「確認します。プレイヤーNO178549。高橋悠里様の脳波確認。確認中……。トゥルース。高橋悠里様に2GPが付与されます。高橋悠里様の現在の取得GPは16GPです」


「ありがとうございます。……いろんな情報を聞いたし、KPも申請したし、GPを商品に変換して疲れたのでとりあえず終わりにしますね。ログアウト」


悠里の意識は暗転した。


***


高橋悠里の現在のKP(傷ついたポイント) 6851KP → 0KP(3000KPを3000GPに変換/3851KPを3851SPに変換)


高橋悠里の取得GP 14GP → 3014GP → 14GP → 16GP 


マリー・エドワーズの現在のスキルポイント 206P → 4057P



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