第四百二十九話 マリー・エドワーズとユリエルは強制ログアウトして、高橋悠里は要にメッセージを送信した後に真子からのメッセージを読み、返信する

ユリエルや真珠と『識別の虫眼鏡』で遊んだり、お喋りをしているうちにプレイ時間制限になり、マリーとユリエルは強制ログアウトした。


悠里は目を開けて、瞬く。目に映るのは自室の天井だ。

悠里は横たわっていたベッドから起き上がり、ヘッドギアを外した。

それからヘッドギアとゲーム機の電源を切る。


「ヘッドギアとゲーム機の充電をしておこう」


悠里は手早くヘッドギアとゲーム機を繋ぐコードを外して充電器で充電をする。


「明日、お母さんにゲーム機器を没収されていませんようにっ」


悠里はそう言いながら手を合わせて祈った。

リアルの悠里は『祈り』スキルは持っていないけれど、祈らないより祈る方が良い結果を引き寄せてくれる気がする。


祈り終えた悠里はスマホを手に取った。

要にゲームで一緒に遊べて楽しかった気持ちを伝えてお礼を言い『おやすみなさい』のメッセージを送りたい。


「メッセージが来てる……。はるちゃんと真子さんからだ。真子さんからのメッセージってやっぱりイヴさんとウェインが付き合うっていう例の件絡みだよねえ……。たぶん」


とりあえず要へのメッセージを書こう。やりたいことから先にやろう。

悠里は要へのメッセージを書き始めた。





要先輩。先輩と真珠とゲームでたくさん遊べて楽しかったです。ありがとうございます。

月曜日、また会えるのを楽しみにしています。おやすみなさい。





悠里は自分が書いたメッセージを読み直して送信した。

それから真子からのメッセージを確認する。





悠里ちゃん。イヴからメッセージがあったと思うんだけど、イヴとウェインが付き合うことになったんだって!!

『アルカディアオンライン』のフレンド機能を使ったメッセージって、運営に把握されてるっぽいからリアルで相談するね。





悠里は真子からのメッセージを途中まで読んで、驚いた。

『アルカディアオンライン』のフレンド機能を使ったメッセージは運営に把握されている……?


「確かにそうかも……。だって、だから、私がフレンドに一斉メッセージを送った中で、私のフレンドがワールドクエストを達成したことがWPに換算されたんだもの。でもこれってプライバシーの侵害じゃない?」


それとも『アルカディアオンライン』の規約にプレイヤーのフレンドへのメッセージは運営に把握されることになると記載されているのだろうか。

悠里は考えを巡らせ……考えるのをやめた。面倒くさい。


「読まれて困ることとか無いから、まあいっか。メッセージの続きを読もう」


悠里はそう呟いて真子からのメッセージの続きに目を通す。





イヴの個人的なことをウチの独断でマリーちゃんに知らせるとマリーちゃんとウチのプレイヤー善行値が下がっちゃうかもだから、リアルでのメッセージにしました。

相談せずにはいられなかったんだ……。すずが心配で。

ウェインの中の人って、どんな人? おじさんだったりしないよね? 変な趣味とか無いよね……?

悠里ちゃんから見て、すずと付き合っても大丈夫そうならそれだけでも教えてくれると嬉しいです。





「真子さん。すずさんのことめちゃくちゃ心配してる……」


そしてこの質問の内容は圭の個人情報の漏洩を促しているので『アルカディアオンライン』の運営に知られたらプレイヤー善行値が下がってしまうような気がする。

それは絶対にダメだし、嫌だ。

プレイヤー善行値が下がったらプレイヤーレベルが下がって、一日に換金できる金額が少なくなってしまう!!


「圭くんのこと、どう伝えたらいいんだろう……? とりあえず高校生で顔が綺麗でスタイルがよくてモテまくってるって伝えたらいいのかなあ……?」


悠里は悩みながら真子へのメッセージを書き始めた。





真子さん。ウェインの中の人は高校生で、顔が綺麗でスタイルがいいのでモテまくってます。

木曜日に付き合ってたカノジョに土曜日フラれて、日曜日にイヴさんと付き合うことにしたみたいです。

これまで、フラれたことはあっても浮気したことはないです。


ウェインはカノジョよりゲームする予定を優先するので短期間でフラれます。

でも、モテるのですぐに次のカノジョができます。女子同士で修羅場になったことは無いみたいです。たぶん。

伝えられるのはこんな感じです。役に立てたら嬉しいです。





悠里は自分が書いたメッセージを読み直して送信した。



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