第四百二十四話 高橋悠里は圭からのメッセージを読んで衝撃を受け、圭と通話していたが突然通話が終了する
お風呂に入り終えた悠里は洗面所で髪を乾かし、梳かし終えてトイレを済ませ、それから自室に向かう。
「要先輩はもうゲームで遊んでいるかな? まだログインしてないかな?」
悠里はそう言いながら二階の自室に入り、机の上に置いていたスマホを手に取った。
「メッセージが二件来てる。要先輩と圭くんからだ」
悠里は要からのメッセージを先に読もうとして、手を止めた。
そういえば、圭はイヴ……すずと話をしたはずだ。
「二人が話し合った結果を教えてくれてるのかもしれないし、圭くんからのメッセージから読もう」
悠里はそう呟いて圭からのメッセージをスマホの画面に表示させた。
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悠里。ゲーム内でもメッセージを送ったんだけど、一応リアルでも同じ内容を送っておくな。
イヴの件では迷惑をかけてごめん。俺、イヴとゲーム内で付き合うことになったから。
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「ええええええええええええええええええええええええええええっ!?」
圭からのメッセージを読み終えた悠里は驚いて叫んだ。
圭とすず……ではなくウェインとイヴがゲーム内で付き合うことになった!?
「いやいやいやいや。なんでそうなっちゃったの……っ? 圭くん……じゃなくてウェインがイヴさんと会ったのはウェインがイヴさんに不誠実なことを言ったことを謝って仲直りするためじゃなかったの……っ?」
圭からのメッセージは5分前に送られたものだ。
今、圭に直電したら、話せるかもしれない。
「でも話して面倒くさい事態に巻き込まれるのは嫌だなあ……。だけど事情を知らずにイヴさんと話すのも怖い……」
悠里は少し迷って、圭に直電することにした。
この直電に圭が出なければ、この件はスルーすることにする。
コール音が5回鳴った後、圭の声がした。
「悠里? どうした?」
いつも通りの圭の声を聞いたら、なんだか腹が立ってきた。
「どうしたじゃないよ。イヴさんとゲーム内で付き合うってどういうこと?」
「言葉通りの意味だけど。俺、木曜日に告白されて付き合ってたカノジョがいたんだけどさ、土曜日にフラれて」
「はあっ!? なんで木曜日に付き合い始めて土曜日にフラれるの!? まさか初デートでスマホゲームに夢中になってたわけじゃないよね!?」
「さすがに俺も学習するよ。デート中はなるべくスマホ見ないようになったし」
「じゃあなんでフラれたの……?」
「さあ……」
「何があったのか話してみて」
「わかった。木曜日にカノジョと放課後デートして」
「うん」
「その夜に『デート楽しかった』ってメッセージが来て」
「うん」
「でも『アルカディアオンライン』をプレイしてたからメッセージ読むのも返事するのも遅れて」
「……うん」
「金曜日に会った時『放課後デートしたい』って言われたから『昨日したじゃん。今日はゲームするから無理』って言って」
「うん……?」
「そしたら『土曜日にデートしたい』っていうから『今、ゲームが佳境だから無理』って言って」
「……」
「土曜日に何度も直電が入って『日曜日に会いたい』っていうから無理って言ったらフラれた」
「それはフラれるよね!! よく頑張ったよ。カノジョさん!!」
「だけどヘヴン島の闘技場で戦えるのヘヴンズコインがある間だけだし、デートしてる場合じゃないじゃん?」
「それはゲームを愛するプレイヤーだけに通じる理屈だからね。一般人はゲームよりデートを優先するからね」
「でも悠里だってあとちょっと友好度を上げれば乙女ゲームの恋愛イベントが発生するハマってる乙女ゲームがあったらそっち優先するだろ?」
「しませんっ。私はデートを優先しますっ」
「いやいや。悠里はデートよりゲームだろ? 俺らゲームを愛する者じゃん?」
「ゲームは好きだし『アルカディアオンライン』も楽しいけど、でも今は要先輩の方が大好きだもんっ」
「要先輩? 悠里はそいつが好きなの?」
「今は私の話はいいのっ。圭くんの話っ」
悠里がそう言った直後、突然通話が終了した。
「……通話、切れた」
悠里はスマホを見つめてため息を吐く。
「圭くんのことはもう放っておこう。イヴさんにも余計なことを言わないようにしよう」
悠里はそう呟いた後、要からのメッセージを確認することにした。
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