第四百八話 マリー・エドワーズたちは領主館の食堂でイヴとアーシャに合流する
領主館に入ったマリーたちは、領主館の侍女のナナに食堂に案内された。
ユリエルは傘と『フローラ・カフェラテ』の容器をアイテムボックスに収納し、マリーは飲み終えた『フローラ・カフェラテ』の容器をアイテムボックスに収納して、今は手に何も持っていない。
食堂に入ると、そこにはイヴとアーシャの姿があった。
「マリー!! 真珠!!」
「マリーちゃんと真珠くんも領主館に来たんだね……っ」
「わう!! わーうぅ!!」
イヴとアーシャが笑顔でマリーと真珠に手を振る。
真珠は尻尾を振りながらイヴとアーシャに駆け寄った。
マリーはユリエルとイヴを会わせたくなかったと思いながら隣に立つユリエルの横顔をそっと窺う。
ユリエルは冷たい微笑みを浮かべてイヴを見つめている。
怒っている……っ!?
「あのっ。ユリエル様、マリーさん、お客様も、どうぞ席にお座りください」
マリーたちを食堂に案内してくれた侍女のナナが席に着くようにすすめる。
ユリエルがナナに肯くと、ナナはほっとしたような表情を浮かべてユリエルを先導するべく歩き出す。
「マリーちゃんは俺の隣の席に座って」
ユリエルはそう言いながらマリーに手を差し伸べる。
マリーは照れながら、でも嬉しくて微笑みながら差し伸べられたユリエルの手に自分の手を重ねる。
情報屋は案内される前に自分からアーシャの隣に座り、バージルは羨ましそうにユリエルと手を重ねて歩くマリーを見ていたが、我に返って自分も席に着こうと食堂を見回す。
バージルは情報屋の隣に座るかショートカットの美少女キャラのイヴの隣に座るか迷い、イヴの隣に座ることに決めた。
真珠はイヴの膝の上に乗り、アーシャに頭を撫でて貰って幸せそうだ。
ユリエルに手ずから椅子を引いてもらったマリーはユリエルにお礼を言って椅子に座る。
……王子様にエスコートされるお姫様みたい。嬉しい。
マリーのエスコートを終えたユリエルはナナが引いた椅子に座り、ナナに視線を向けて口を開いた。
「お父様は? 船が出航できる準備は整った?」
「えっと、すみません。私はわからないです。領主様にユリエル様がお戻りになったと伝えてきます」
「その前に、俺とお客様のお茶の用意を誰かに頼んでおいて」
「かしこまりました」
ナナはユリエルに一礼して立ち去る。
ナナと入れ替わるように、お茶の支度をした侍女が食堂に入ってきた。
ナナは侍女に視線を向けてほっとしたように表情を緩める。
マリーはテーブルの向かい側でイヴとアーシャに可愛がってもらってご満悦な真珠を見ながら、真珠のモテ期再び……と思った。
よかったね。真珠。
心の中でそう呟いたマリーはアーシャの隣に座った情報屋を見た。
情報屋はアーシャのようなグラフィックの女子キャラが好みとか……?
情報屋はアーシャとイヴに視線を向けて口を開く。
「ぶしつけなことをお伺いしますが、お二人はマリーさんのフレンドなんですよね?」
「そうです」
「おじさん誰?」
肯くアーシャと首を傾げて情報屋に問いかけるイヴ。
マリーの隣に座っているユリエルは、初対面の相手の情報屋をいきなり『おじさん』呼ばわりするイヴとは仲良くなれそうもないし、仲良くなりたくないと改めて思った。
***
紫月22日 夕方(4時46分)=5月16日 14:46
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます