第四百二話 マリー・エドワーズと情報屋はそれぞれのフレンドに一斉送信でメッセージを送り、情報屋のルームのソファーに座ってフレンドからのメッセージを確認する



教会に死に戻ったマリーと真珠は情報屋と合流して彼の『ルーム』に向かう。


情報屋の『ルーム』に続く階段に乗った真珠は、マリーと情報屋が階段に乗ったことを確認した後、勇ましく吠える。


「わおお、わんっ!!」


階段が階下に向かって動いた。

真珠は自分が階段を動かせたことが嬉しくて尻尾を振る。

マリーは真珠を褒めた後、虚空を見つめて指を動かしている情報屋に視線を向けて口を開いた。


「情報屋さんっ。ヘヴン島に行く方法に何か心当たりがあるんですか……っ!?」


「くぅん……?」


「今、メッセージに『ヘヴン島にいるプレイヤーはワールドクエスト『消えた孤児たちを追え!!』を受注してウォーレン商会の関係者か港町アヴィラの孤児院の孤児を探してほしい』と記載して一斉送信しました」


「イヴさん作戦ですねっ。私もやろう……っ」


マリーはステータス画面を出現させてメッセージを記載する。





このメッセージは一斉送信です。よろしくお願いします。

ヘヴン島にいるプレイヤーはワールドクエスト『消えた孤児たちを追え!!』を受注してウォーレン商会の関係者か港町アヴィラの孤児院の孤児を探してほしいです。

どうぞよろしくお願いします。





「一斉送信っ。送信完了……っ」


初めてメッセージの『一斉送信機能』を使ったマリーは達成感に包まれた。


マリーと真珠、情報屋は階段を下りきり、情報屋は『ルーム』のロックを管理者権限でアンロックして部屋の中に入る。


情報屋のルームの革張りのソファーに真珠と並んで座ったマリーは、流されて情報屋のルームに来てしまったけれど特に売る情報が無いことに気がついた。

情報屋の『考え』というのがフレンドに一斉メールを送って依頼するということであれば、もう、それは終わった。

だからマリーと真珠が情報屋のルームにいる必要はないはずだ。

マリーと真珠の向かい側のソファーに座った情報屋がじっとマリーを見つめている。


「マリーさん」


情報屋がマリーの名前を呼んだその時、可愛らしいハープの音が連続で鳴った。

フレンドからのメッセージが来たようだ。


「情報屋さん。私のフレンドからメッセージが来たみたいなので確認しますね」


「そうですか。私のフレンドからもメッセージが来たようです。お互い、メッセージを確認しましょう」


情報屋の言葉にマリーは肯く。


「わうー。わんわぅ、わうう……」


ソファーに座っている真珠が、マリーを見つめておねだりする。

真珠は『ラブリーチェリー』が食べたい!!


「そうだよね。真珠は私と情報屋さんがメッセージを確認している間、暇だよね……。そうだっ。光るビー玉を出すからそれで遊んでてね」


「ぎゃわんっ」


真珠の『ラブリーチェリー』が食べたいという気持ちはマリーには伝わらなかった!!

マリーはアイテムボックスから光るビー玉を取り出して真珠に渡す。

これはフレンドのクレムから買い取ったガラス玉にマリーの『ライト』の光の玉が入ったもので、今、マリーがたった一つだけ持っているビー玉だ。


「くぅん……」


真珠は光るビー玉をソファーの上で転がし始めた。

マリーと情報屋はフレンドからのメッセージを確認し始めた。


マリーに来たメッセージはユリエル、ウェイン、バージル、イヴ、アーシャからのものだった。

マリーはまず、ユリエルからのメッセージを確認することにした。


***


紫月22日 昼(3時39分)=5月16日 13:39



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