第三百八十二話 マリー・エドワーズは『フローラ・カフェラテ』を二つと『フローラ・バナナマフィン』を二つ買い、情報屋に会いたいとメッセージを送信する



「真珠。情報屋さんにメッセージを送って返信が来るまでたぶん時間が掛かるから、何か食べて待ってようね」


「わんっ」


マリーに抱っこされた真珠は、フローラ・カフェ港町アヴィラ支店で何か食べるのは初めてなのでわくわくしながら肯く。

真珠を抱っこしたマリーは、店内の自販機の前に立った。


「会員NO178549マリー・エドワーズ様。マリー・エドワーズ様の現在の所持金は3496601リズです。購入するメニューと個数を指定してください」


「うわっ。びっくりした……っ」


「きゅうん……っ」


突然流れたサポートAIの声にびっくりしたマリーと真珠はびくりと身体を震わせる。

マリーは驚きから立ち直り、自販機を見つめて口を開いた。


「真珠。食べたいものや飲みたいものはある?」


「くぅん……?」


「『フローラ・カフェラテ』と『フローラ・バナナマフィン』でいい?」


「わんっ」


真珠はよくわからなかったのでマリーの言葉に肯いた。

マリーはいつも、真珠においしい物を食べさせてくれる。

だから『ふろーら・かふぇらて』も『ふろーら・ばななまふぃん』もきっとおいしい。


「サポートAIさんっ。『フローラ・カフェラテ』を二つと『フローラ・バナナマフィン』を二つくださいっ」


「かしこまりました。『フローラ・カフェラテ』を二つと『フローラ・バナナマフィン』を二つですね。合計2200リズです。宜しいですか?」


「よろしいです」


マリーが肯くと、自販機横のカウンターにトレイに乗った『フローラ・カフェラテ』が二つ、『フローラ・バナナマフィン』が二つ出現した。


「会員NO178549マリー・エドワーズ様。マリー・エドワーズ様の現在の所持金は3496601リズです。ご利用ありがとうございました」


「すごいっ。一瞬で注文した物が出てきた……っ。さすがゲーム……」


「わおん……」


「真珠。私、トレイを運ぶから真珠を床に下ろすね」


「わんっ」


真珠はマリーに肯く。

マリーは真珠が肯いたのを確認して彼を床に下ろした。

そして『フローラ・カフェラテ』が二つ、『フローラ・バナナマフィン』が二つ乗ったトレイを持つ。

……重い。

トレイの重さによろめくマリーを見かねた神官が、マリーの代わりにトレイを席まで運んでくれた。


「神官さん。ありがとうございますっ」


「わぅわううわううわっ」


「聖人様。聖獣様。ごゆっくりお寛ぎください」


神官はマリーと真珠に微笑み、立ち去った。

マリーは自分が椅子に座ってから真珠に手を差し伸べる。

真珠はマリーの膝にジャンプして飛び乗った。


「まずは情報屋さんに『会いたい』ってメッセージを送るからちょっと待っててね」


「わんっ」


真珠はマリーに肯き、じっと『フローラ・バナナマフィン』を見つめる。

マリーはステータス画面を出現させて情報屋に『今、真珠とフローラ・カフェ港町アヴィラ支店にいます。情報屋さんに売りたい情報があるので会ってもらえたら嬉しいです。お返事を待ってます』と記載したメッセージを送信した。



***


マリー・エドワーズの現在の所持金 3496601リズ → 3494401リズ


紫月22日 早朝(1時08分)=5月16日 11:08



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