第三百六十八話 マリー・エドワーズがイヴからのメッセージを確認した後に情報屋からメッセージが来る
「ユリエル様。あの、今、私のフレンドのイヴさんからメッセージが来たんです」
「イヴさん? リアルで会ったことがある、あの人?」
「そうです」
マリーはプレイヤー善行値のことを考えて、あえてぼかした言い方をしてくれたユリエルに感謝しながら肯く。
真珠はイヴのことが好きになっていたので、イヴからのメッセージが気になった。
ユリエルはマリーを見つめて口を開く。
「メッセージの内容はもう確認した?」
「いいえ。まだです。えっと『一斉送信』っていう、私が今まで貰ったことがない形で送られて来てて。今、内容を確認しますね」
マリーはイヴからのメッセージを確認する。
真珠とユリエルは虚空を見つめるマリーを見守る。
♦
たすけて。いま、こじいんにいる。
♦
「えっ!? 『たすけて。いま、こじいんにいる』って、全部ひらがなで書いてあります……っ」
マリーは驚いて、メッセージの内容を読み上げる。
イヴの中身は女子高生だ。
当然、漢字での読み書きができるはずなのに、メッセージの文章はひらがなだけで構成されている。
マリーはワールドクエスト『鑑定師ギルドの副ギルドマスターの恋人選定パーティー』でアーシャにレーン卿と彼の婚約者の乙女ゲームイベントの実況を頼まれた時、焦ってメッセージを書いたせいで最後の方はひらがなの文章になってしまったことを思い出す。
マリーは追い詰められた状況のイヴがメッセージを送信したのかもしれないと思いながら口を開いた。
「イヴさんが危ない目に遭っているのかも……っ」
「マリーちゃん。落ち着いて。イヴさんはプレイヤーだから、危険な目に遭っても心配ないんじゃないかな」
「きゅうん……」
マリーがユリエルに諭された直後、可愛らしいハープの音が鳴った。
「イヴさんからメッセージが来たのかもっ。確認します……っ」
マリーはフレンドからのメッセージを確認する。
メッセージの送り主は情報屋だった。
『今、ログインしました。ルームにいるので、マリーさんが来られそうなら商談をしましょう』と記載されている。
「えっと、情報屋さんからでした。今『ルーム』にいるっていうメッセージでした。私が『ルーム』に来られそうなら商談をしてくれるそうです」
マリーは情報屋からのメッセージを読み終えて真珠とユリエルに内容を伝える。
「でも、今はイヴさんとメッセージのやり取りをした方がいいかもなので、情報屋さんには断りのメッセージを送った方がいいですよね?」
「いや。今から情報屋さんの『ルーム』に行こう。俺は孤児院の場所を知らないし、この街にいくつ孤児院があるのかもわからない。情報屋さんから情報を買った方が確実だと思う」
ユリエルの考えを聞いたマリーと真珠は納得して肯く。
そしてマリーは情報屋に『今、真珠とユリエル様と一緒に教会にいます。みんなで情報屋さんのルームに行きます』と記載して送信した。
***
紫月21日 夜(5時00分)=5月16日 9:00
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