第三百五十九話 マリー・エドワーズたちはグリック村を回り、卵や野菜、チーズやバター、ミルクを提供してもらってノーマに代金を支払い、村を出る



マリーたちはマギーの『ウィンドウォール・キューブ』で雨を避けながらグリック村の村人たちの家を周り、卵や野菜、チーズやバター、ミルクを提供してもらった。

マリーたちはお金を払おうとしたのだが、村人たちは誰一人としてお金を受け取ってくれなかった。

彼らはマリーが『ラブリーチェリー』の代金として、両手いっぱいの金貨を村長に差し出していたところを見ていたのだ。

グリック村では、村の収入は村長が村人に等分に分配するため、村全体がひとつの家族のようなものだった。


「なんか、いっぱい貰っちゃって申し訳ないね」


マリーがそう言うと真珠とアーシャ、マギーが肯く。


「村の人の気持ちだから気にしないで」


ノーマはマリーたちにそう言って微笑む。

そんな優しいことを言われたら、是が非でもお金を払いたい。

マリーはそう思いながら口を開いた。


「ステータス」


マリーはアイテムボックスから金貨を1枚取り出してノーマに差し出した。


「これ、卵とかミルクとか野菜とかの代金です。ミルクを入れる木桶も貰っちゃったし」


「くぅん……」


「そんな!! 金貨だなんてもらいすぎよ。マリーちゃん……!!」


マリーに金貨を差し出されたノーマは目を丸くして首を横に振る。


「この金貨はノーマさんが港町アヴィラに来た時に使って。村の人たちにお土産をいっぱい買ってあげてね」


「ウチも金貨を払うよ」


「私も」


「わんっ」


アーシャ、マギーに続いて真珠も肯く。

マリーは真珠の心意気を汲んで、真珠の分の銀貨1枚をアイテムボックスから取り出してノーマに差し出す。

金貨3枚、銀貨1枚をそれぞれに差し出すマリーたちが引かないことを悟ったノーマは両手で金貨3枚、銀貨1枚を受け取り、胸に抱いて口を開いた。


「ありがとう。マリーちゃん。アーシャさん。マギーさん。シンジュくん」


泣き笑いのような表情を浮かべて言うノーマにマリーたちも笑顔を返した。


「じゃあ、ノーマちゃんを家まで送ってから村を出ようか」


アーシャの言葉にマリーと真珠、マギーが肯く。


「貰ったお金、どうしよう……?」


胸に金貨と銀貨を抱いたノーマが不安な表情を浮かべて言う。


「内緒にしてればいいんじゃない? ノーマさんの秘密の隠し場所とかある?」


マリーの言葉を聞いたノーマは少し考えて肯いた。


「私、女の子だから一人部屋を貰ってるの。その部屋にお父さんに買ってもらったオルゴールの箱があるから、その中にしまっておくことにする」


ノーマはそう言うと、ほっとしたように笑った。

それからマリーたちはノーマを家まで送り届け、そしてグリック村を後にした。


***


※ マリー・エドワーズは卵や野菜、チーズやバター、ミルクを提供してもらい、金貨1枚、銀貨1枚(真珠の分)をノーマに支払う。


マリー・エドワーズの現在の所持金 3579601リズ → 3478601リズ


紫月20日 朝(2時20分)=5月16日 0:20



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