第三百五十八話 マリー・エドワーズたちは祝勝会後にグリック村の卵やチーズ等の特産品を買うために教会を出る
神官や村人たちがキッチンで料理をして、食堂のテーブルの上に出来上がった料理が並ぶ。
教会が貯蔵していた葡萄酒と葡萄ジュースがふるまわれ、マリーたちは楽しい時間を過ごした。
マリーが提供したクッキーと黒パンも、いつの間にかなくなっていた。よかった。
クッキーの箱は、教会長が欲しいと言ったので提供した。
やがて、村の子どもたちが疲れて眠くなり、祝勝会はお開きになった。
子ども連れの村人たちは先に食堂を出て、神官たちが後片付けを始める。
葡萄酒を飲んで酔っ払っている村の男たちは、まだ席を立つ気配がない。
パーティーメンバーで固まって座って祝勝会を楽しんでいたマリーたちは、そろそろ切り上げようかという雰囲気になった。
「じゃあ、そろそろ死に戻ろうか。あー。めっちゃ夜更かししてる気がする……」
アーシャの言葉にマリーは狼狽え、口を開く。
「あの、私、復活地点をグリック村の教会にしちゃったんです。どうしよう……」
「じゃあ、歩いて港町アヴィラに戻ろうか。マギーもそれでいい?」
アーシャに問いかけられたマギーは木のコップに入った葡萄酒を飲み干してテーブルに置き、笑顔で肯く。
「もちろんいいわよ。じゃあ、そろそろ出発しましょうか」
「あ、ちょっと待ってください!! 私、卵とミルクが欲しいんです……!!」
卵とミルク、野菜等を買うためにグリック村に来たかったマリーは、わがままを言って申し訳ないと思いながらもそう主張する。
マリーの言葉を聞いたマギーが口を開いた。
「私も野菜とか果物が欲しいわ。チーズとかハムもあればすごく嬉しい」
「チーズ!! ウチ、チーズ大好きなんだよね。チーズ欲しいなあ。ノーマちゃんに相談してみようか」
「アーシャさんの意見に賛成ですっ!!」
「わんわんっ!!」
マリーが元気よく言うと、真珠も首を縦に振る。
真珠は祝勝会の時、葡萄ジュースを飲んですごくおいしかったけれど、おいしいミルクも飲みたい!!
マリーたちの話がまとまったところで、母親と一緒に弟たちを家に連れ帰っていたノーマが食堂に姿を現した。
「ノーマちゃんっ!!」
アーシャがノーマの名前を呼んで手を振ると、ノーマが笑顔になって小走りで駆け寄ってくる。
ノーマは髪も服も濡れていたのでマギーが『クリーン』をかけた。
ノーマはマギーにお礼を言う。
『クリーン』は本当に便利だと改めてマリーは思った。
「弟くんたち、無事に家に帰れた? すごく眠そうにしてたけど」
「うん。なんとか家までは歩かせた。弟たちはもう重くて、私もお母さんも、背負うのはキツいもの」
アーシャに問いかけられ、ノーマが苦笑しながら言う。
「あのね。ノーマちゃん。私たちさっき、卵やミルク、チーズを売ってもらえないかなって話をしていたところだったの」
マギーがノーマにそう言うと、ノーマは少し考えて口を開いた。
「あんまりたくさんは用意できないかもしれないですけど。どれくらい必要ですか?」
「私はあればあるほど嬉しいですっ。ちゃんとお金は払いますねっ」
「わんわぅ、わうわ!!」
「ウチはチーズ!! いろんな種類のチーズがあったら嬉しいけど、一種類でもオッケーだよ」
「私は食材全般。できるだけ多く買いたいわ」
マリー、真珠、アーシャ、マギーがそれぞれに言う。
マリーたちの言葉を聞いたノーマは肯いて口を開いた。
「わかりました。私とお母さんで村の人たちの家を回ってみるので少し待っていてください」
「ちょっと待って。ノーマちゃん。私たちも一緒に行くわ。私がいれば『ウィンドウォール・キューブ』で雨に濡れなくて済むし、私たちが一緒に回ればその場ですぐに買い取れると思うの」
マギーが食堂を出て行こうとするノーマを引き止めて言う。
マリーと真珠、アーシャもマギーの言葉に肯いた。
「わかりました。じゃあ、みんなで一緒に行きましょう」
ノーマの言葉にマリーたちは肯き、そして皆で食堂を出た。
***
紫月20日 朝(2時07分)=5月16日 0:07
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