第三百五十六話 マリー・エドワーズはマギーとフレンド登録をして『ラブリーチェリー』の収穫を終えた村人たちと合流する



マリーと真珠、ノーマ、マギーとアーシャはノーマの『ウィンドウォール・キューブ』に守られながら教会を出て、ノーマの案内で『ラブリーチェリー』の果樹がある村の果樹園に向かう。

果樹園に向かって歩いている途中、マギーはマリーに視線を向けて口を開いた。


「マリーちゃん。歩きながらで申し訳ないんだけど、よかったら今、私とフレンド登録してくれない?」


「はいっ。もちろん、喜んでっ」


マリーはマギーが差し出した左腕の腕輪に自分の左腕の腕輪を触れさせた。

マリーの目の前に画面が出る。





プレイヤーNO7539マギー・ジレンホールとフレンド登録しますか?



         はい/いいえ






マリーは『はい』をタップした。画面が切り替わる。





両者の合意が得られたのでフレンド登録されました。

詳細はステータス画面の『フレンド機能』でご確認ください。





「フレンド登録できたっ」


マリーは信頼できるフレンドが一人増えて嬉しくて笑顔になる。

以前はひとりもフレンドがいなかったマリーだったが、今はフレンドがたくさん……マリー基準では、たくさんいる。素晴らしい。

マギーはマリーに微笑んで口を開いた。


「マリーちゃん。これからよろしくね。時間が合ったら一緒に遊びましょう」


「はいっ」


「わんわぅわ!!」


「そうね。真珠くんも一緒に遊びましょうね」


「わんっ!!」


真珠はマリーとマギーに仲間に入れてもらえて嬉しくて尻尾を振った。


果樹園が見えてきた。

果樹園から村人の一団が歩いてくる。白いローブを着た教会長もいる。


「お父さん……っ!!」


ノーマは村人の一団の中に父親の姿を見つけて駆け出す。


「ノーマ……!!」


ノーマの父親はずぶ濡れの娘を抱きしめた。

ノーマの父親や村人の中の二人は背中にカゴを背負っている。

カゴの中には『ラブリーチェリー』が収穫されていた。

村人たちと一緒に教会に向かっていた教会長はマリーと真珠の姿を見つけて駆け寄ってくる。

……速い!! 老人とは思えない速度で駆けて来た教会長はマリーと真珠に一礼した。


「聖人様。聖獣様。猿どもを追い払い、この村を救っていただき感謝いたします」


「えっと……はいっ!!」


マリーは教会長の言葉を否定して教会長と押し問答のようなことをするのが面倒くさいと思ったので彼の言葉を否定せず、笑顔で肯く。


「わうー。くぅん……」


真珠は、マリーと真珠が村のために何もしていないことを知っている。

マリーと真珠は猿と一回も戦わなかったし、一匹も倒さなかった……。


マギーが『ウィンドウォール・キューブ』の範囲内に入った教会長に『クリーン』をかける。

それから、合流した村長やノーマ、村人たちが濡れないように再度『ウィンドウォール・キューブ』をかけ、濡れた彼らにも『クリーン』をかけた。

そして、皆で教会に向かった。


***


紫月20日 早朝(1時47分)=5月15日 23:47



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