第三百五十二話 マリー・エドワーズと真珠はグリック村の教会前にたどり着き、復活地点をグリック村の教会に変更して死に戻る
「ノーマさん!! 無事!? マリーと真珠が来たよ!!」
「わうーわわんわぅ、わうわ!!」
マリーと真珠は必死に叫びながら、猿が横行する村の中を走る。
幼女と子犬が走り回っていることに気づいた村人が、慌てた様子で駆け寄ってきた。
「お嬢ちゃん!! なんで子どもがこんなところにいるんだ!!」
「私、村長さんの娘のノーマさんの友達です。マリー・エドワーズです。5歳です。一緒にいるのは可愛くてかっこよくて賢い私のテイムモンスターの真珠です」
「わんわぅわうっ。わんわんっ」
「いや、今この状況で自己紹介をされてもなあ……。とにかく村の奥にある教会に避難するんだよ。村の女や子どもは皆、村の奥に建っている教会にいるはずだ。猿はこっちが攻撃しなけりゃ襲ってくることはないようだけど、十分に気をつけるんだよ」
「わかりました。教会に行ってみますっ。ありがとうございますっ」
「わうわううわううわっ」
マリーと真珠は村人にお礼を言って頭を下げ、教会を目指して走り出す。
マリーと真珠が猿に襲われることなく教会の方向に走っていくのを見届けた村人は、鍬を持って村の入り口に向かった。
マリーと真珠は村を横行する猿を避けながら、教会に到着した。
教会の扉は固く閉ざされている。
「どうしよう……」
「くぅん……」
マリーは教会の扉を開けようとしたが、開かない。
その時、マリーの目の前に画面が現れた。
♦
プレイヤーNO178549マリー・エドワーズの復活地点をグリック村の教会に変更しますか?
はい / いいえ
♦
「復活地点の変更……っ!?」
マリーは目の前の画面に表示された文章を読んで、言う。
「わうー。きゅうん……?」
マリーの目の前に現れた画面はプレイヤー本人しか読むことができず、テイムモンスターの真珠にはマリーがなにもないところをじっと見つめているように見える。
マリーは真珠に、画面に何が表示されたのかを説明するために口を開いた。
「あのね。真珠。私と真珠が『死に戻った』時、いつも港町アヴィラの教会にいるのはわかる?」
真珠は少し考えて肯いた。
真珠とマリーはいつも『しにもどり』をすると『きょうかい』にいる。
「えっと、私と真珠がいつも死に戻るのは港町アヴィラの教会なんだけど、これからは死に戻るのはグリック村の教会にしますか? っていう文章が出てるの」
「くぅん?」
真珠はよくわからないので首を傾げる。
「とりあえず、今はグリック村の教会の中に入りたいから、復活地点をグリック村の教会に変更するね」
マリーはそう言って目の前の画面に表示された『はい』をタップした。
新たな画面が現れる。
♦
プレイヤーNO178549マリー・エドワーズの復活地点をグリック村の教会に変更しました。
♦
復活地点をグリック村の教会に変更したマリーは、真珠に視線を向けて口を開く。
「あのね。真珠。今、死に戻り場所をグリック村の教会に変更したから、私が魔力枯渇状態になって死に戻れば、この教会の中で復活できると思うの」
「わんっ」
マリーの言葉を聞いた真珠は肯いた。
『しにもどり』をすればこの『きょうかい』の中に入れると理解する。
「じゃあ、魔法を使って魔力枯渇状態になるね」
マリーはそう言って『ライト』を発動させた。
死に戻りの時はどうしても『光の玉が出る』という自分たちにも周囲にも安全な『ライト』の魔法を使ってしまう。
ステータスを確認した時『ライト』のスキルレベルが突出して高かったことを思い、マリーは心の中でこっそりとため息を吐いた。
どうしても、氷を使わないのに氷の魔法を使って氷を無駄にすること等はためらってしまう。
ゲームだというのに貧乏性なのかもしれない……。
そんなことを考えているうちにマリーは魔力枯渇になり、HPが徐々に減っていく。
そしてマリーのHPが0になり、マリーと真珠は教会に死に戻った。
***
※マリー・エドワーズの復活地点がグリック村の教会に変更
マリー・エドワーズのステータス値の変化
MP 37/37 → MP 0/38
ライト レベル2(120/200) → ライト レベル2(140/200)
紫月19日 真夜中(6時57分)=5月15日 22:57
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