第三百四十九話 マリー・エドワーズと真珠はパーティーメンバーと共に東門を目指す



マリーたちは猿の群れにまぎれるようにして東門へと向かう。

港町アヴィラの領主から『家から出ないように』という命令があったせいか、今、道を歩いているのは兵士とプレイヤーだけのようだ。


プレイヤーは西門に向かっている人数が多く、東門に向かっているのはマリーたちだけだった。

マリーたちは、一列になって歩いている。

先頭はアーシャ、二番目が真珠、三番目がマリーで最後尾がマギーだ。


悠里は、今の自分たちがレトロRPGで一列に並んでフィールドを歩いているキャラのようで、すごく嬉しい。

悠里はいつも、勇者・戦士・魔法使い・僧侶の順番にしていた。

今は弓使い・テイムモンスター・幼女・魔法使いの順番で歩いている。

……幼女は職業じゃないけど。マリーの職業は何になるのだろうか。

思考の泥沼に嵌まりそうになり、悠里は気持ちを切り替えるために周囲を見回した。

そして、マリーは東門に向かっているのがマリーたちのパーティーだけのようだと思いながら口を開く。


「プレイヤーはみんな、西の森に向かってるのかなあ?」


マリーの問いかけを拾い、マギーが口を開いた。


「そうかもしれないわね。ウッキーモンキークイーンの討伐を狙ってるプレイヤーは多そう。レアドロップとかありそうだし」


「ワールドクエストは行動によってWPで交換できるものが変わるのが面白いよね。グリック村に行くことを選んだプレイヤーが少ないなら、ウチら、レアなものとWP交換できるかもよ」


マリーとマギーの会話にアーシャが加わる。

真珠はパーティーメンバーの会話を肯きながら聞き、歩いた。

マリーは歩いているうちに女子会の片づけをマギーひとりに任せてしまったことを思い出し、マギーに謝罪するために口を開く。


「マギーさん。あの、女子会の片づけをマギーさんひとりに任せてしまってごめんなさい。食器とか洗う時間なかったですよね?」


「マリーちゃん。気にかけてくれてありがとう。汚れた食器は『クリーン』で片づけたから大丈夫よ。MPが少し減ったけど、でも私『MP回復』スキル持ってるから」


マギーの言葉を聞いたアーシャが口を開いた。


「マギーは『MP回復』スキルを習得したんだね。でも『MP回復』スキルって死にスキル扱いされてない?」


「魔法メインじゃないプレイヤーにとっては死にスキルだと思う。ロ……は今言ったらダメよね。ええと、死に戻ればMPは全回復するし。でも、魔法メインで長時間のバトルをする時は『MP回復』スキル、めちゃくちゃ便利よ。しかも、MPが減るだけでオートで発動して、スキル経験値も貰えるからお得感がすごいの」


「すごいっ。魔力回復薬のお金とか節約できますねっ」


マリーはそう言いながら、自分が魔法メインで戦うことになったら『MP回復』スキルを習得しようと心に決めた。



***


紫月19日 夜(5時59分)=5月15日 21:59





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