第三百四十五話 マリー・エドワーズと真珠はアーシャ、マギーとパーティーを組む



マリーは目を開けた。

マリーはマギー・ジレンホールのルーム内のソファーに座っている。

無事に、ゲームを開始できたようだ。


「わうー。くぅん」


マリーの膝の上に座っている真珠がマリーを見つめて心配そうに鳴いた。

説明の途中でマリーと真珠が眠ってしまったことが、真珠は不安なのかもしれない。

マリーは真珠にワールドクエストの内容とこれからの行動を説明するために口を開いた。


「真珠。説明の途中で寝ちゃってごめんね。あのね。この前、私と真珠がアーシャさんたちと一緒に、西の森で猿と戦ったのを覚えてる?」


真珠は少し考えて、肯く。

西の森で真珠たちはたくさんの猿に襲われた。

真珠は木の上の白い猿を倒したかったけれど、攻撃を猿にかわされてしまって木から落ちてしまった。

マリーが木から落ちた真珠を受け止めてくれて嬉しかった。

木から落ちたのは少しだけ怖かったけれど、マリーが真珠を抱っこしていてくれたのですごく怖くはなかった。


「その猿がね、ノーマさんの村にある『ラブリーチェリー』っていう……たぶんさくらんぼ的な果物? を狙って村にたくさん押しかけているみたいなの」


真珠はマリーの言葉を肯きながら聞く。

ノーマのことは覚えている。ノーマはマリーの友達で、真珠にとっても友達だ。


「だからね。私、真珠と一緒にノーマさんの村に行って、ノーマさんが元気でいるか、怪我をしていないか確認したいの。いいかな?」


「わんっ!!」


真珠はマリーの言葉に力強く肯く。

真珠もノーマが心配だ。だから真珠はマリーと一緒にノーマのところに行く!!


「話は聞かせてもらったよ。マリーちゃん。ウチも一緒に行かせて。パーティーを組もう」


マリーの隣に座っていたアーシャがマリーを見つめて言った。

アーシャはリープから戻って来ていたのだ。

マリーはアーシャを見つめて首を傾げ、口を開く。


「いいんですか? アーシャさんはクエスト達成したいんじゃないですか?」


「グリック村に行けばクエスト達成条件の④は達成できるかもじゃない?」


「クエスト達成条件の④。確認してみますね。ステータス」


マリーはステータス画面を呼び出して『クエスト確認』をタップした。

そして『ワールドクエスト』をタップして『ウッキーモンキークイーンへの求婚騒動』に指で触れる。

マリーは真珠にもわかるようにワールドクエスト『ウッキーモンキークイーンへの求婚騒動』のクエスト達成条件④を読み上げた。


「クエスト達成条件④グリック村のすべての『ラブリーチェリー』を食べ尽くす・破棄する・アイテムボックス内に収納する」


「わんっ」


真珠は猿が欲しい『らぶりーちぇりー』をなくしてしまえばよいのだと理解して肯いた。

マリーは真珠が肯いたことを確認してアーシャに視線を向け、口を開く。


「この達成条件④のこと、グリック村のNPCは知らないかもしれないから伝えたいです」


「そうだね。じゃあ、ウチからマリーちゃんにパーティー申請するね」


アーシャがステータス画面を操作すると、マリーの目の前に画面が現れた。





プレイヤーNO59992アーシャからパーティー申請されました。

受領しますか?



       はい / いいえ





マリーは『はい』をタップした。

新しい画面が現れる。





プレイヤーNO178549マリー・エドワーズはプレイヤーNO59992アーシャのパーティーに入りました。

パーティーメンバーの人数で、パーティーメンバーが討伐したモンスターの経験値が等分されます。

パーティーから離脱する場合は『フレンド機能』の『パーティー管理』をご利用ください。





マリーは目の前に現れた画面の文章を読み終えて、小さく肯き口を開く。


「私と真珠、アーシャさんのパーティーに入りましたっ」


マリーの言葉を聞いたアーシャは『パーティー管理』でパーティーリストを確認した。


「うん。ちゃんとウチら三人でパーティーになってる。じゃあ、グリック村に行こうか。場所ってわかる?」


「港町アヴィラの東門を出ると『グリック平原』で、グリック村は『グリック平原』の真ん中あたりにあるって聞きました」


「グリック村なら私、行き方を知ってるわよ。商人ギルドで汎用クエスト『グリック村の農作物等運搬』を受けたことがあるから」


マリーたちの会話に割って入ったのはルームの主、マギー・ジレンホールだ。

女子会に参加していたプレイヤーは、気づけば半数ほどルームからいなくなっている。

マギーはマリーと真珠、アーシャに視線を向けて微笑み、口を開いた。


「私もパーティーに入れて。メインの攻撃スタイルは魔法で、種族レベルは85よ」


「レベル85!?」


マリーはマギーの言葉に驚いて目を剥いた。

そして目を剥いている場合じゃないと己を叱咤し、口を開く。


「あの、ええと、私と真珠は種族レベルが3なんです。一緒のパーティーで大丈夫ですか……?」


「きゅうん……?」


「大丈夫よ。どんな強さでも、一緒にいて楽しければそれでオッケー。だって、ゲームってそういうものでしょ?」


長身で赤毛、浅黒い肌のセクシーなマギーに微笑まれ、マリーと真珠は嬉しくなる。

真珠と視線を合わせ、真珠が肯いたことを確認したマリーはアーシャの意向を確認するために口を開いた。


「アーシャさんはどう思いますか? 私と真珠はマギーさんと一緒にパーティーを組めたら嬉しいんですけど……」


「ウチもマギーと一緒だと心強いよ。じゃあマギーにパーティー申請するね」


アーシャがステータス画面を操作し、マギーにパーティー申請をして、マギーはパーティー申請を受領した。


***


紫月19日 夜(5時09分)=5月15日 21:09



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