第三百三十三話 マリー・エドワーズはハート型の型を使ってクッキーの型抜きをして、真珠は星型の型を使ってクッキーの型抜きをする
マリーはハートの型を手に持ち、真珠に視線を向けて口を開く。
「真珠。私、このハートの型を使いたいんだけど、いい?」
真珠は少し考えて肯いた。真珠はギザギザした形の型を使いたい。
ハートの型を使うことを許してくれた真珠に微笑んでマリーは口を開いた。
「ありがとう。真珠」
「わんわんっ。わうー」
マリーはハート型の型を使ってハート型のクッキーを作っていく。
「真珠さん。真珠さんはどの型を使いますか?」
真珠の補佐担当の女性料理人のエリンが真珠に問いかける。
真珠は前足でギザギザした形の型を指し示した。
エリンは真珠が星型の型を指し示したのを確認して肯き、口を開く。
「真珠さん。私が星型の型をクッキー生地の上に置きますので、真珠さんは私が置いた型を前足でぎゅっと踏んでください」
「わんっ」
真珠はエリンの言葉に肯いた。
エリンは真珠が指し示した星型の型をクッキー生地の上に置き、真珠に視線を向けて肯く。
真珠はエリンに肯きを返し、右足で星型の型をぎゅっと踏んだ。
ハート型のクッキーを作っていたマリーは真珠が初めて星型クッキーの型抜きをするところを見るために手を止めた。
エリンはクッキー生地を確認してから真珠に視線を向け、口を開く。
「真珠さん。型抜きできていると思うので、足を離してください」
「わんっ」
真珠はエリンに肯き、星型の型から右足を離した。
エリンは真珠が星型に抜いたクッキーをクッキー生地から切り離して耐熱シートが敷かれた鉄板の上に置く。
マリーは真珠の初クッキーの型抜きに感動して激しく拍手した。
「真珠!! クッキーの型抜きができたね!! すごいね……っ!!」
「わうーっ!! わんわんっ!!」
真珠を褒めまくるマリー。
真珠はドヤ顔で尻尾を振った。
真珠の補佐をしているエリンも拍手をする。
嬉しそうなマリーと真珠を微笑ましく見守りながらユリエルも拍手をすると、ユリエルに倣って侍女長とナナも拍手をした。
副料理長のアールと若手の料理人ダンテが雰囲気に流されて拍手をすると厨房内にいた料理人たちも、互いに視線を交わしながら拍手を始めた。
真珠はたくさんの人に拍手をしてもらって、嬉しくて吠えた。
やがて拍手の音は波が引くようにおさまり、マリーと真珠はクッキーの型抜きを再開する。
そしてマリーと真珠はクッキーの型抜きを終えて作業台から下り、クッキーが焼きあがるのをユリエルの部屋で待つことになった。
クッキーが焼き上がるのは15分後。
マリーと真珠、ユリエルはクッキーが焼けるのを楽しみにしながらユリエルの部屋に向かった。
***
紫月17日 真夜中(6時08分)=5月15日 10:08
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