第三百二十三話 5月15日/高橋悠里は母親からゲーム機器を返してもらって、すぐにゲームで遊べるように準備する



5月15日土曜日の朝、悠里は7時にセットしたスマホのアラームの音で起きた。

悠里は枕の横で鳴っているアラームを止めて、ベッドから起き上がって叫ぶ。


「今日と明日はゲームができる……!!」


悠里は張り切ってパジャマを脱ぎ捨て、部屋着に着替える。

そして脱いだパジャマを持って一階に向かった。


洗濯機の脇にある洗濯カゴに脱いだパジャマを入れた後、トイレに行く。

そして洗面所で顔を洗って自分用のタオルで顔を拭き、母親に会いにキッチンに向かった。

母親は、この時間はきっと朝ご飯の支度をしている。


キッチンに到着した。

キッチンから甘い匂いが漂っている。

母親はIHクッキングヒーターの前に立っていた。

IHクッキングヒーターにはフライパンが乗っている。母親はフレンチトーストを作っているようだ。

悠里は母親に満面の笑みを向け、口を開いた。


「お母さん。おはようっ」


「おはよう。悠里。今日は学校が休みなのに早起きね」


母親はフライパンに視線を落としたままで言う。


「今日は土曜日だよっ。ゲームを返してっ」


「ゲームで遊びたくて早起きしたの? まったく……。ゲーム機器が入った段ボール箱はリビングのテーブルの上に置いてあるわ」


「わかった!! リビングに行ってくる!!」


母親の言葉を聞いた悠里は大喜びでリビングに向かう。


「ゲームで遊ぶのは朝ご飯を食べてからにしなさいよ……っ」


母親はキッチンを飛び出した悠里に言ったが、悠里からの返事はなかった。


悠里がリビングに入ると、祖父と父親がソファーに並んでテレビを見ていた。


「悠里。おはよう。今日は早いな」


父親が悠里に微笑んで言う。


「今日はゲームで遊べる日だから早起きしたのっ」


悠里は満面の笑みを浮かべてそう言いながら、テーブルの上の段ボール箱を持ち上げる。


「今度はお母さんに怒られないように気をつけながら遊べよ」


祖父の言葉に悠里は力強く肯き、リビングを出て自室に向かった。


ゲーム機器が入った段ボール箱を持った悠里は軽やかな足取りで階段を上がり、二階の自室に入る。

悠里は久しぶりのゲーム機器との対面に心躍らせながら、部屋の床に段ボール箱を置き、箱を開けた。

箱の中にはゲーム機器等がきちんと揃って入っている。よかった。


「すぐに遊べるように準備しておこう……っ」


悠里は段ボール箱の中からゲーム機とヘッドギアを取り出してコードで繋ぐ。

その状態でゲーム機とヘッドギアをベッドの上に放置した。


「今すぐゲームで遊びたいけど、我慢……っ」


悠里はそう言って、朝ご飯を食べるために一階に向かった。





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