第三百二十二話 5月12日/高橋悠里は大好きな先輩に『土日までゲームをプレイできない』とメッセージを送り『アルカディアオンライン』から離れた日々を過ごす



母親との話し合いを終えた悠里は自室に戻り、制服から部屋着に着替える。

そして学校で使うノートパソコンを充電した後、通学鞄からスマホを取り出した。


「要先輩にメッセージを送ろう……」


悠里はスマホをタップした。





要先輩。放課後デート楽しかったです。家まで送ってもらってありがとうございます。

申し訳ないのですが今週末の土日までゲームをプレイすることが禁止になりました。

今日、約束していたのにログインできなくてごめんなさい。要先輩とゲームで遊びたかったです。





悠里は自分が書いたメッセージを読み直して要に送信した。


「はるちゃんにもメッセージを送ろう」


悠里はメッセージの内容を考えながら記載する。





はるちゃん。氷川くんとの放課後デート楽しかった?

私も要先輩と放課後デートして楽しかったよ。

明日の朝、登校する時にはるちゃんの話を聞かせてね。


あと、篠崎先輩が教えてくれたんだけど、佐々木先輩は中間テストが終わるまで部活に来ないんだって。

中間テストがある週は部活が休みになるみたいだけど、今週だけでも佐々木先輩が部活に来ないってわかってほっとしてる。


それから、私、今日お母さんに『アルカディアオンライン』のゲーム機器を没収されちゃったから土曜日までゲームで遊べないんだ。

マリーのことは気にしないで、はるちゃんは楽しくゲームで遊んでね。





悠里は自分が書いたメッセージを読み直して晴菜に送信した。

メッセージを送信し終えた悠里は、机に向かって中間テストの勉強を始める。


晩ご飯を食べ終え、食器を片づけて歯を磨いた後に、自室に戻った悠里がスマホを確認すると要と晴菜からメッセージが来ていた。

悠里はまず、要からのメッセージを確認する。





悠里ちゃん。メッセージをありがとう。

テスト前だからゲームから離れるのもいいよね。

さっき、マーキースからウォーレン商会の後継者になるための権利書等を(お父様が)買い取ったから、俺も悠里ちゃんがゲームをプレイするまで勉強に集中するね。

ゲームをプレイできそうな時には連絡をください。また一緒に遊ぼうね。





悠里は要からのメッセージを三度読み返して、嬉しくて微笑む。

土曜日になったら要と一緒に遊んで、それから女子会に参加しよう。

要からのメッセージを読み終えた悠里は、次に晴菜からのメッセージを確認する。





悠里。メッセージ読んだよ。

佐々木先輩が中間テストが終わるまで部活に来ないのは、すごくよかったと思う。

これで少しは安心して部活ができるよね。

あと、ゲームを没収って何をしたのよ……。


あたしは無事に5000万リズを手に入れました。

領主様は即金一括で支払ってくれたよ。お金持ちってすごいね。ゲームだけど……。

領主様に権利書とかを売ったから、もうオヤジたちも怖くないし、マーキースに愛着もわいてきたから転生しないでこのままゲームを続けることにしたよ。

悠里も早くゲームを返してもらえるといいね。じゃあ、また明日ね。





「はるちゃん。すごい……っ。5000万リズかぁ……。息子のために即金一括で払う領主様もすごい……」


悠里は晴菜からのメッセージを読み終えてため息交じりに呟く。


「メッセージも読み終えたし……勉強しよう」


悠里は机に向かって中間テストのための勉強を始めた。


それから土曜日まで、悠里は『アルカディアオンライン』から離れた日々を過ごした……。



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