第三百十一話 マリー・エドワーズはユリエルとマーキースのフレンド登録を見守り、ユリエルとウェインのフレンド登録を見守る



「マリー。もしかしてこの美少年キャラの中の人って……」


マーキースの言葉にマリーは何度も首を縦に振る。

言葉にすると『プレイヤー善行値』が下がるかもしれないので口にはしない。


「マーキースくんかな?」


「はい。そうです」


ユリエルに尋ねられ、マーキースは肯いた。


ユリエルはマーキースを見つめて口を開く。


「よかったら俺とフレンド登録してもらえないかな? 本人同士が納得してメッセージのやり取りをする場合はリアルの情報を含んでいてもプレイヤー善行値が下がらないってサポートAIに聞いたんだ」


マリーと真珠はユリエルの言葉を肯きながら聞く。ウェインはすでに知っている情報だったのか、特に何の反応も見せない。


「こちらこそフレンド登録してもらえたら嬉しいです。よろしくお願いします」


マーキースはそう言いながら腕輪が嵌まった自分の左腕をユリエルに向けて差し出す。

ユリエルは自分の腕輪をマーキースの腕輪に触れさせた。

マリーはにこにこしながらマーキースとユリエルのフレンド登録を見守る。

真珠は自分の右足の『従魔の輪』を見ながら、真珠も『ふれんどとうろく』できればいいのになあと思った。

ウェインはマリーに視線を向けて口を開く。


「マリー。この人、護衛っぽいNPCもいるレアキャラっぽけどリアフレ?」


マリーは腰に手をあてて仁王立ちになり、口を開いた。


「ユリエル様の個人情報は秘匿されますっ。でもウェインはユリエル様にめっちゃ謝らなくちゃいけないくらいに迷惑をかけたんだからねっ」


「マジか。もしかしてイヴ関係で?」


ウェインの言葉にマリーは重々しく肯く。


「……マジか」


ウェインはため息を吐きながら言い、フレンド登録にメッセージのやり取りをしているユリエルとマーキースを見つめる。

そしてユリエルとマーキースがメッセージのやり取りを終えたのを見計らってウェインはユリエルに話しかけた。


「ユリエル。マリーから聞いた。イヴのことで迷惑をかけたみたいでごめん」


ユリエルはウェインの言葉を聞いて首を横に振る。

ウェインのグラフィックを自分の目で見て、リアルでイヴ……すずがあれほど頑なに要をウェインと言い張ったのか理解できたし、納得した。


「よかったら俺ともフレンド登録してくれないか? ユリエルのリアルのことは詮索しないから」


ウェインの申し出にユリエルは肯く。


「フレンドが増えるのは嬉しい。よろしく。ウェイン」


ユリエルはそう言いながら自分の左腕をウェインに向けて差し出す。

ウェインは自分の腕輪をユリエルの腕輪に触れさせた。

ユリエルとウェインのフレンド登録を見守っているマリーと真珠にマーキースが歩み寄り、口を開いた。


「マーキースも課金キャラだからレアかなって思ってたけどユリエル様はガチですごいね。護衛とかいるし」


「ユリエル様は港町アヴィラの領主の子息だからねっ」


ユリエルとウェインのフレンド登録が終わり、マリーとマーキースのお喋りを真珠が聞いていると、商人ギルドのユリエルの前にギルド登録の列に並んでいたNPCキャラが登録を終えてカウンターを離れ、ユリエルが商人ギルド登録をする番になった。


***


紫月3日 夕方(4時41分)=5月11日 20:41



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