第三百八話 マリー・エドワーズたちは雑談をしながら商人ギルド登録の順番を待つ
マリーと真珠、マーキースはウェインに誘導されて、商人ギルドの『ギルド登録』受付カウンターに並ぶ。
マリーは商人ギルド内を見回して、人の少なさに首を傾げた。
「商人ギルドってもっと賑わってるのかと思ってた」
マリーの言葉を聞いたウェインがアイテムボックスから懐中時計を取り出して時間を確認した後、口を開く。
「それはたぶん、今の時間帯が『夕方』だから閑散としてるんだ」
マーキースはウェインの懐中時計に目を留めて、口を開いた。
「ウェインの時計かっこいいね。ボクも欲しいな」
「懐中時計は高いぞ。これは金貨5枚で買った」
「金貨5枚っ!?」
ウェインの言葉を聞いたマリーは目を剥いた。
「金貨5枚って、5万円くらい?」
首を傾げて言うマーキースにマリーは首を横に振って口を開く。
「500000リズだよ……っ!! リアルマネーで言うと50万円っ!!」
マリーの言葉を聞いたマーキースは特に動揺することもなく口を開いた。
「結構高いね。でもかっこいいから欲しいなあ。懐中時計」
「マーキースはお金を使うことに躊躇がないんだねえ」
マリーはマーキースを見つめてしみじみと呟く。
マリーは借金返済のために石貨1枚ですら節約しようと思いながらゲームをプレイしていたので懐中時計が金貨5枚だと知った今、欲しいとは思わない。
マーキースはマリーを見つめて口を開いた。
「ゲームだし、散財するのも楽しいかなと思って。ゲームで散財するのってリアルで高い時計とか高い車とか高いアクセサリーを欲しがるよりはよくない?」
「確かに。あっ。そうだ。ウェイン。さっきの話の続き。なんで『夕方』だと商人ギルドに人が少ないの?」
マーキースとの雑談を終えたマリーはウェインに話を振る。
「通常の商談は『朝』と『昼』の時間帯しかできないんだ。『夕方』はギルド登録と商人ギルドランクC以上のギルド員の商談しか受け付けてない」
「えっ? じゃあ、オークションの話はできないの?」
ウェインの言葉を聞いたマーキースが長い前髪に隠された目を丸くする。
マーキースの言葉を聞いたウェインがにやりと笑って口を開いた。
「俺、商人ギルドの受付のNPCと仲良くなったんだよ。だからオークションの話ならギルドマスターに通してもらえることになってる。ほら、あの子」
ウェインは並んでいる列の受付の女性に視線を向けた。
彼女はウェインに気づいて微笑んだ。
「ウェインは見た目が子どもだからさ、警戒されずにいろんなNPC女子と仲良くできる」
マリーはウェインを睨んで口を開いた。
「ウェイン最低……」
「絶対、胸が大きい美人NPC女子を選んでるよね」
マーキースがそう言ってため息を吐く。
「くぅん?」
美人と仲良くしてはいけないのだろうかと思いながら真珠は首を傾げた。
***
紫月3日 夕方(4時11分)=5月11日 20:11
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