第三百二話 マリー・エドワーズと真珠は教会に死に戻りしてウェインと合流し、彼の『ルーム』に向かう 



目を開けると薄暗かった。

今、ゲーム内では何時なのだろう? 雨が降っているから部屋の中が薄暗いのだろうか。


「ステータス」


マリーはステータス画面の明かりで周囲を確認することにした。

マリーは真珠と一緒に天蓋があるベッドに寝ている。マリーと真珠の他に人影はない。

ピンク色の布とレースで作られた天蓋付きのベッドには見覚えがある。

ここはレイチェルが子どもの頃に使っていたという部屋だ。

マリーはこの部屋を何度か使わせてもらったことがある。


「わんわんっ」


マリーの隣から元気な声がする。真珠だ。


「真珠。おはよう」


「わうわぅ。わうー」


マリーの隣に寝ていた真珠がマリーに身体をすり寄せる。


「真珠。あのねっ。これからウェインとマーキースに会うために教会に死に戻りを……って、私、着替えないとダメっぽいっ」


マリーはシルクの夜着に着替えさせられていた。


「真珠。ベッドの上でちょっと待っててねっ」


マリーはベッド脇にあるふわふわのスリッパを借りて、ステータス画面の明かりを頼りに部屋の明かりをつけた。

そして5歳のマリーでも手が届く子ども用のクローゼットの扉を開ける。

クローゼットには強制ログアウト前にマリーが着ていた丸襟のブラウスとキュロットスカートがあった。

よかった。これで着替えられる。

マリーは夜着を脱ぎ捨て、手早く丸襟のブラウスを着てキュロットスカートを履く。

そして夜着を畳みながら、マリーはベッドの上でお座りをして待っている真珠に小走りで駆け寄る。


「真珠っ。お待たせ」


「わうーっ。わんわんっ」


マリーは畳んだ夜着をベッドの上に置きながら口を開く。


「真珠。今から教会に死に戻りするからね」


マリーはそう言いながらスリッパからベッド脇に置いてあった木靴に履き替える。

それから『ライト』で光の玉を何個も作り出して魔力枯渇状態になり、教会に死に戻った。


教会に死に戻ったマリーは真珠が側にいることを確認した後、ウェインに『今、教会にいるよ』というメッセージを送信する。

その後、ユリエルに『マーキースとフレンド登録するために教会に死に戻って待ち合わせしました。20:00には領主館に戻るつもりですが戻れなさそうな時にはメッセージを送ります』と記載して送信する。


「よしっ。連絡終わりっ」


マリーはそう呟いて、周囲を見渡す。

真珠はウェインの匂いを嗅ぎ取ろうと鼻をひくひくと動かした。


「マリー!! 真珠!!」


要によく似たグラフィックのウェインがマリーと真珠に駆け寄る。


「ウェイン!!」


「わぅわう!!」


「久しぶり。合流できてよかった」


笑顔で言うウェインにマリーは微笑みを返し、真珠は尻尾を振る。

ウェインは一人のようだ。マリーは首を傾げながら口を開いた。


「ウェイン。マーキースは?」


「俺の『ルーム』にいる。カフェのカウンター前に、俺の『ルーム』への階段を出しっぱなしにしてもらってるんだ。行こう」


ウェインはマリーと真珠を促し、足早に『フローラ・カフェ港町アヴィラ支店』に続く扉へと向かった。



***


マリー・エドワーズのスキル経験値が上昇


ライト レベル2(100/200)→ ライト レベル2(115/200)


魔力操作 レベル3(12/300)→ 魔力操作 レベル3(15/300)


マリー・エドワーズの最大MP値が1上昇


MP 35/35→ 36/36


紫月3日 昼(3時29分)=5月11日 19:29



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る