第三百一話 5月11日/高橋悠里は幼なじみの彼からのメッセージを読んで、ログイン



悠里は自室のベッドの上で目を開けた。

無事にログアウトできたようだ。

ヘッドギアを外して起き上がる。

それから悠里はヘッドギアとゲーム機の電源を切ってベッドから下りた。


「今、何時だろう?」


要がゲームにログインする20:00まで英単語を単語カードに書き写そうと考えながら、悠里は机の上に置いたスマホを手に取る。


「圭くんからメッセージが来てる」


悠里は圭からのメッセージを確認した。





悠里。俺はこれから晴菜と一緒に商人ギルドに行くんだけど、一緒に行く?

行くのであれば19:30に教会で待ち合わせしよう。

19:30までにマリーからのメッセージがなければ俺と晴菜の二人で行くから、都合が悪いからスルーして。





圭からのメッセージを読み終えた悠里はスマホの時間を確認した。

今の時刻は19:23だ。


「今からログインしてゲームを始めれば間に合う……っ」


悠里は迷った末にログインして圭、晴菜と合流することにした。

晴菜が『アルカディアオンライン』をプレイしてから一度もゲーム内で会えていないことが気になっていたのだ。

ゲーム内で晴菜の主人公マーキース・ウォーレンと会ってフレンド登録をしたい。


悠里は急いでベッドの上に置きっぱなしにしていたゲーム機とヘッドギアの電源を入れ、ヘッドギアをつけた。

部屋着でベッドに横になり、目を閉じる。


「『アルカディアオンライン』を開始します」


サポートAIの声がした直後、悠里の意識は暗転した。


気がつくと、悠里は転送の間にいた。

無事にログインできたようだ。


「プレイヤーの意識の定着を確認しました。『アルカディアオンライン』転送の間へようこそ。プレイヤーNO178549。高橋悠里様」


中間テストの勉強をすると言ってログアウトしておきながら、数分で戻ってきたことを少し気まずく思いながら悠里は口を開く。


「サポートAIさんっ。私、フレンドにメッセージを送りますねっ」


悠里はウェインに『今、ログインしたよ。死に戻りして教会に行くね』とメッセージを送る。


「送信終了っ。じゃあ、私、ゲームをプレイしますね」


「それでは、素敵なゲームライフをお送りください」


サポートAIの声に送られ、悠里は鏡の中に入っていった。





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