第二百九十七話 5月11日/晩ご飯を食べてログインして5月11日分のGPを取得する



晩ご飯を食べ終えた悠里は食器を洗い、歯を磨いてから母親と祖母に「勉強する」と言って自室に向かった。

そして悠里は二階の自室の机の上にある通学鞄からスマホを取り出して要へのメッセージを記載する。





要先輩。さっきは強制ログアウトをして迷惑をかけてしまってごめんなさい。

お祖母ちゃんに晩ご飯ができたと身体を揺すられてしまいました。

私は今からゲームにログインしますけど、要先輩も晩ご飯の時間とかあると思うので、無理しないでくださいね。

ちょっとだけでもゲームの中で要先輩に会えて嬉しかったです。





悠里は自分が書いたメッセージを二度、読み直して送信した。

それから母親と祖母に「勉強する」と言った手前、英語の単語帳をパラパラと最初から最後まで見る。

よし。勉強、終わり!!

悠里は力強く肯き、そして、ベッドの上に置きっぱなしにしていたゲーム機とヘッドギアの電源を入れ、ヘッドギアをつけた。

部屋着でベッドに横になり、目を閉じる。


「『アルカディアオンライン』を開始します」


サポートAIの声がした直後、悠里の意識は暗転した。


気がつくと、悠里は転送の間にいた。

無事にログインできたようだ。


「プレイヤーの意識の定着を確認しました。『アルカディアオンライン』転送の間へようこそ。プレイヤーNO178549。高橋悠里様。プレイヤーNO2985490ユリエル・クラーツ・ アヴィラからメッセージが届いています」


「ユリエル様、メッセージを残してくれたんだ。ステータス」


悠里はステータス画面を表示させて、フレンド機能でユリエルからのメッセージを確認する。





マリーちゃんと真珠くんは領主館のレイチェル叔母様が子どもの頃に使っていた部屋のベッドにいるよ。

俺も、そろそろ晩ご飯だと思うからいったんログアウトするね。

晩ご飯を食べ終えて、20:00頃にログインするつもりだから、もしよかったら一緒に遊ぼう。

マリーちゃんと真珠くんが寝ているようなら、俺ひとりでゲームをプレイするから、都合が悪かったら無理しないでね。





「か……じゃなくてユリエル様。優しい……っ」


悠里は要の優しさに感動しながらメッセージを三度読み返した後、口を開いた。


「サポートAIさん。今何時ですか?」


「現在の日時は、5月11日19:01です」


「そうなんだ。じゃあ、ユリエル様と合流するまで時間があるね。えっと、まずは返信しよう」


悠里はユリエルに『私も20:00頃にゲームを始めるようにしますね。ユリエル様に会えるのが楽しみです』と記載して返信した。

そして今日の分のGPを貰おうと思って口を開く。


「サポートAIさん。今日の分のGPをください。朝ご飯と給食、晩ご飯を食べたし、学校に行きましたっ」


「確認します。プレイヤーNO178549。高橋悠里様の脳波確認。確認中……。トゥルース。高橋悠里様にGP4が付与されました。高橋悠里様の現在の取得GPは8GPです」


「わあい。やったあっ」


学校に行って、三食ご飯を食べただけで貰えるGPはスキルポイントにもなるので嬉しい。


「次はマリーのステータス値を確認しようかな。ステータス」


悠里の目の前にステータス画面が出現した。


***


高橋悠里の取得GP 4GP→8GP



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