第二百八十一話 5月11日/幼なじみの彼からのメッセージを確認してログイン
悠里は自室のベッドの上で目を開けた。
無事にログアウトできたようだ。
ヘッドギアを外して起き上がる。
「うう……。眠い……。でも明日も遊ぶために一応充電しよう……」
悠里はヘッドギアとゲームの電源を切り、そして、ヘッドギアとゲーム機を充電する。
それから部屋のカーテンを閉め、電気を消してベッドに潜り込んだ。
おやすみなさい……。
悠里はあっという間に眠りに落ちた。
……トイレに行きたいと思いながら、悠里は目を開けた。
部屋の中は薄明るい。今、何時だろう?
「とりあえず、トイレ行こう……」
ベッドからのろのろと起き上がり、悠里は自室を出て一階のトイレに向かう。
トイレから出て洗面所に行き、顔を洗っていると父親が現れた。
「おはよう。悠里。今朝は早起きだな」
父親の言葉を聞きながら、悠里は自分用のタオルで顔を拭いて口を開いた。
「おはよう。お父さん。そういえば昨日、帰ってくるのが遅かったみたいだけど、仕事が忙しいの?」
「まあな。コロナ禍で在宅ワーカーが増えたせいか、水の注文が増えたんだ。仕事が忙しいのはありがたい話だと思うよ」
悠里の父親は水の販売会社に勤めている。
家庭や職場に機器を設置して水やお湯を簡単に飲めるようにするのが仕事だ。
だが高橋家では父親の会社の『水』を買っていないし機器を設置してもいない。
母親と祖母が家の中に『機器の置き場がない』と判断したからだ。
確かにでっかい水樽をドオンと家の中に設置するのは……厳しいと悠里も思う。
高橋家は普通の日本家屋に二世帯・五人で住んでいるので、余分なスペースが無いのだ。
でも、父親が会社から持ってくる、消費期限間近になった試飲用の2リットルの水はよく飲む。おいしい水だと思う。
悠里と入れ替わる形で父親が洗面所を使う。
悠里は二階の自室に向かった。
自室に戻った悠里は部屋のカーテンを開ける。
「今日は晴れそう」
悠里はそう言った後、机の上のスマホを見た。
時間は6:03。アラームをセットしなくても早起きできたようでラッキーだ。
「……圭くんからメッセージが来てる」
悠里は圭からのメッセージを確認した。
♦
悠里。イヴのことで迷惑をかけてごめん。
ウェインとしてゲーム内でイヴにメッセージを送ったから。
悠里にはもう迷惑をかけないと思う。……たぶん。
最悪、転生システムでの転生も考えてる。
時間が合ったらゲームで一緒に遊ぼうな。
♦
「えっ。転生システムってなに……っ!?」
今の時間は6:04になった。……ゲーム、やっちゃう?
6:55までならゲームで遊んでも大丈夫……?
「転送の間でサポートAIさんに『転生システム』のことを聞いて、今日の分の換金をするだけなら時間、大丈夫だよね。うん。大丈夫なはずっ」
悠里は自分に都合の良い結論を口にしながら手にしていたスマホを机の上に置き、充電していたゲーム機とヘッドギアをコードで繋ぐ。
それからゲーム機とヘッドギアの電源を入れ、ヘッドギアをつけた。
そしてベッドに横になり、目を閉じる。
「『アルカディアオンライン』を開始します」
サポートAIの声がした直後、悠里の意識は暗転した。
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