第二百七十九話 5月10日/少しだけゲームで遊ぼうと思いながらログイン
悠里はお風呂に入り、パジャマに着替えて洗面所で髪を乾かしてから自室に向かう。
スマホを見ると22:17だった。……圭からの返信はない。
悠里はハンカチを入れ替え、明日の分のマスクケースを用意して充電していた学校用のノートパソコンと頑張って書いた英単語の単語帳を通学鞄にしまう。
教科書とノートを一切持って行かなくていいので、明日は鞄が軽いと思うと嬉しい。
そして悠里は今日持って行ったハンカチを一階にある洗濯機の横にある洗濯カゴに入れた。
ダイニングからは父親と母親の話し声が聞こえる。
仕事を終えて帰宅した父親が晩ご飯を食べているようだ。
悠里はダイニングに顔を出さずに二階の自室に向かった。
自室に戻った悠里はベッドの上に置きっぱなしにしているヘッドギアとゲーム機を見つめて腕を組んだ。
「ゲームで遊ぶべきか、寝るべきか。それが問題だ……」
悠里は眠くなっている。二日連続で寝不足状態になるのは避けた方がいいとわかっている。
でも!! 悠里はゲームで遊びたい!!
真珠がモンスター討伐を頑張ってくれた結果、マリーのステータスがどうなったのか知りたい!!
ワールドクエストや固有クエストの結果も確認したい!!
WPを入手できているのなら、それも確認して交換したい……っ!!
考えた末、悠里の心の天秤はゲームで遊ぶ方に傾いた。
「ちょっとだけゲームで遊ぼう。そうしよう」
悠里は自分の中で妥協案を見つけて口にした。
『ちょっとだけ』ゲームで遊ぶのであれば寝不足は避けられるはずだ。
そう思いながら、ベッドの上にあるゲーム機とヘッドギアの電源を入れ、ヘッドギアをつけた。
パジャマ姿でベッドに横になり、目を閉じる。
「『アルカディアオンライン』を開始します」
サポートAIの声がした直後、悠里の意識は暗転した。
気がつくと、悠里は転送の間に立っていた。
今の悠里はパジャマを着ている。
「プレイヤーの意識の定着を確認しました。『アルカディアオンライン』転送の間へようこそ。プレイヤーNO178549。高橋悠里様」
「こんばんは。サポートAIさん。ワールドクエストポイントの確認をしに来ました!!」
「高橋悠里様のワールドクエストリザルトをお伝えします。
マリー・エドワーズがワールドクエストを受託、1WP獲得。
マリー・エドワーズが『フレデリック・レーン』との友好度が83に達した、WP34獲得。
マリー・エドワーズがワールドクエストを達成、100WP獲得。
獲得合計WPは184です」
「レーン卿との友好度が83。まさかマリーがパーティーで1番レーン卿との友好度が高いとか……ないよね……?」
「その質問にはお答えしかねます。ワールドクエストポイント交換カタログを表示しますか?」
「お願いします」
悠里の前に『ワールドクエストポイント交換カタログ』と表示された画面が現れた。
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