第二百七十八話 高橋悠里は単語カードを5枚見た後、憧れの先輩からのメッセージを読んで英語の勉強を頑張ろうと決意する



悠里が目を開けると、部屋の電気の光が視界に入る。

悠里は横たわっていたベッドから起き上がり、ヘッドギアを外した。

そしてヘッドギアとゲーム機の電源を切る。

お風呂に入って髪を乾かした後、またゲームで遊ぶつもりなので、ヘッドギアとゲーム機のコードをつないだままでベッドの上に放置する。


「あ。そうだ。単語帳を見ておこう」


悠里は机の上にある単語帳を手に取って、英単語を書き写した単語カード5枚をパラパラと見た。

その後、ふと机の上の自分のスマホに目を留める。


「圭くん、私のメッセージを読んでくれたかなあ……?」


圭からの返信があるか気になってスマホを手に取ったその時、要からのメッセージが届いた。


「えっ!? 要先輩からメッセージが来た……っ」


悠里は嬉しくて、でも緊張しながら要からのメッセージを確認する。





悠里ちゃん。今日は放課後、ずっと悠里ちゃんと過ごせて楽しかったし、嬉しかったよ。ありがとう。

今日一緒に買った単語帳に英単語を全部書き終わったので、悠里ちゃんはどうしているかなあと思って……。

もし、英語でわからないことがあったら、一年生の範囲なら教えられると思うので、相談してね。

じゃあ、また明日。部活で会おうね。





「要先輩は単語カード全部、英単語で埋めたの……っ!?」


悠里は要の勤勉さに衝撃を受けた。


「私、単語カードを5枚書いて力尽きたのに……っ」


そして要に英語を教えてもらえるのは嬉しいけれど、でも悠里が怠惰で理解力が低いことを知られるのは恥ずかしい……!!


「要先輩に勉強を教えてもらうためにも、私、英語を頑張って勉強しなくちゃ……っ!!」


悠里は勉強が嫌いだし得意ではないけれど、憧れの人にバカだと思われるのは嫌だ。悲しすぎる。


「とりあえず、単語カードに英単語を頑張って書く……前に、要先輩に返信しよう……っ」


悠里は要へのメッセージを記載する。





要先輩。メッセージをありがとうございます。すごく嬉しいです。

私も頑張って単語カードに英単語を書き写しています。

要先輩と色違いでお揃いの単語帳で嬉しいです。

要先輩に英語を教えてもらえるように、私、勉強を頑張りますね!!

明日、要先輩に会えるのが楽しみです。





悠里は自分が書いたメッセージを二度読み直して、送信した。


悠里からのメッセージを読んだ要が「俺に英語を教えてもらえるように勉強を頑張る……? 誤字とかじゃないよな……?」と呟きながら首を傾げたことを悠里は知らない……。


悠里が椅子の上に置いたパジャマと下着をベッドの上に置いて机に向かい、英語の教科書から英単語を拾い、スマホで意味とアクセント記号を調べてから単語カードに書き写す。

悠里が英単語を10個ほど書き写した時、祖母が悠里の部屋に入ってきた。


「悠里。お風呂が空いたから入っちゃいなさい」


「はあい」


悠里の返事を聞いた祖母は微笑んで部屋を出て行く。

悠里はベッドの上に置いたパジャマと下着を持って一階の浴室に向かった。




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